公募研究
エキゾチック分子系の高精度計算を実現するために、本年度も多成分系量子化学計算手法を高度化させる。本年度は、特に以下の研究項目を実現し、当該領域「量子クラスターで読み解く物質の階層構造」の研究推進に貢献した。【研究項目1】 多成分系量子化学計算手法の高度化として、量子モンテカルロ法および経路積分法のより効率的な並列プログラムを実装し、全自由度の量子化学シミュレーションの時間短縮をはかった。【研究項目2】 エキゾチック分子系の、陽電子化合物の高精度計算を行った。特に今年度は、[H-;e+;H-]系を計算し、新たな陽電子・電子構造を見出すことができた。具体的には、多成分系CI(MC_CI)計算、多成分系変分モンテカルロ(MC_VMC)計算、多成分系拡散モンテカルロ(MC_DMC)計算を実施した。MC_CI法とMC_VMC法では各間距離が3.5~4.0Å付近で構造が最適化されたが、MC_DMC法では各間距離が0.76Åで最もエネルギーの低い構造がみつかった。これはMC_DMC法を用いることで、電子陽電子の複合体であるポジトロニウム構造を柔軟に表現することができたためと考えられる。また電子と陽電子だけでなく分子振動の励起状態(原子核の量子効果)も含めた計算も行った。次に、ミューオニウム化合物の経路積分計算も行った。さらには、肥山らの内部座標を用いたガウス展開法への拡張を、引き続き実施した。以上の成果を、15報の査読付き国際誌に報告した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 2件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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