研究領域 | 量子クラスターで読み解く物質の階層構造 |
研究課題/領域番号 |
19H05156
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
鹿野 豊 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特任准教授 (80634691)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 量子シミュレーション / 結合クラスター法 / ハートリー・フォック法 / 平均場近似 / 量子多体系 |
研究実績の概要 |
本研究の目的である量子シミュレーションのための結合クラスター法に対しては、現在、量子計算機を用いた量子多体系のハミルトニアンの数値的解法を調べる手法として用いられている。ただ、結合クラスター法とユニタリー結合クラスター法の計算精度に差があるということが分かり、この点において重点的に調べている。そして、来年度、手法の差異に関する部分を含む、量子計算機を用いた量子多体系のハミルトニアンの数値的解法に関するレビュー論文を執筆する予定である。 また、そのレビュー論文を執筆する過程において、量子計算機を用いた量子多体系のハミルトニアンの数値的解法として有効であると思われている完全配置間相互作用法と呼ばれる手法に関する量子アルゴリズムの評価を行った。計算精度を補償する量子アルゴリズムを新しく提唱することが出来、この計算コストに関する研究を行った。 更には、ユニタリー結合クラスター法を用いた量子アルゴリズムに関しては、どの程度の計算精度が必要であるかという点を議論した。そして、エラー耐性のあるユニタリー結合クラスター法に対するエラー基準を算出することが出来た。今後、この研究に対してはより詳細の検討を行う予定である。 最後に、量子計算機に対してどのような性能指標があるべきかという観点で議論を行った。現在使用可能な量子計算機において、安定的に動作しているかどうかを調べる手法が必要であるかを問題提起し、時間相関があるものに関しては議論を行い、論文として纏めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量子シミュレーションのための開放系における結合クラスター法の手法開発のために、まずは孤立量子多体系としてどのようなアルゴリズムが必要であるかの検討を行い、更には、実際の多体系特有のノイズがあるかないかを調べる方法論が必要であるということに気づいたため、そのための手法開発を行った。現在、論文として纏められているもの研究成果もあり、来年度の末までに当初想定していた研究成果を取りまとめられると思われるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度に得られた研究成果をアウトプットする研究時間と量子シミュレーションのための開放系における結合クラスター法の手法開発のための研究時間のバランスを上手く保つ必要がある。また、研究成果をアウトプットするために学会や研究会等での発表が望ましいが、R1年度末より新型コロナウィルス対策のためにR2年度前半の学会・研究会が開催されないことが多い。そのため、代替的な手段として研究成果のアウトプットする機会を設けるということが必要になると考えている。
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