研究領域 | ハイエントロピー合金:元素の多様性と不均一性に基づく新しい材料の学理 |
研究課題/領域番号 |
19H05165
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
池田 輝之 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (40314421)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 状態図 / 拡散 / 焼結 / 拡散接合 |
研究実績の概要 |
調査したい系の元素の焼結体をホットプレス等で作製し,その試料を様々な温度と時間でアニールし,この試料全体をランダムにEPMAで組成分析すると,存在する相の組成範囲に点が現れ,それを詳細に解析すると相の存在組成範囲や相境界を決定できる.本年度は,このためのマルチプル拡散法の焼結法による試料作製方法を確立した.課題は,多元系では状態図が分かっていないため,融点が焼結温度より低い場合があることである.このため焼結温度や焼結時間を詳細に検討し,Al-Fe-Si および CrMnFeCoNi合金において,マルチプル拡散試料の作製条件を見出した.まず Al-Fe-Si 系,つづいて CrMnFeCoNi 合金に関して,ホットプレス装置による焼結条件の検討を行った.焼結温度を変化させて試料中で溶融する部分がないような温度を探り系の最低融点を見出し,その後,焼結時間を調整して空隙の少ない試料を作製することができた.その後,それらのマルチプル拡散試料から得られる組成分布を解析する手法の検討に移行した. マルチプル拡散試料で得られる組成分布を解析する手法としては,1)組成プロットにおける点密度を求め,その変化から相境界を求める方法,および 2) 試料座標において隣接する2点間を結ぶ線分を組成プロット上に示し,その線分から相平衡を示している線分を抽出するために,相平衡を示さない線分を除く方法の二つについて検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査したい系の元素の焼結体をホットプレス等で作製し,その試料を様々な温度と時間でアニールし,この試料全体をランダムにEPMAで組成分析すると,存在する相の組成範囲に点が現れ,それを詳細に解析すると相の存在組成範囲や相境界を決定できる.本年度は,このための,マルチプル拡散法の焼結法による試料作製方法を確立した.課題は,多元系では状態図が分かっていないため,融点が焼結温度より低く焼結試料が作製できない場合があることであった.そこで,まず Al-Fe-Si 系,つづいて CrMnFeCoNi 合金に関して,ホットプレス装置による焼結条件の検討を行った.焼結温度を変化させて試料中で溶融する部分がないような温度を探り系の最低融点を見出し,その後,焼結時間を調整して空隙の少ない試料を作製することができた.このような試料を作製することにより,当初の目的である状態図の概観を調べるための測定に資する試料を得ることに成功した.
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今後の研究の推進方策 |
調査したい系の元素の焼結体をホットプレス等で作製し,その試料を様々な温度と時間でアニールし,この試料全体をランダムにEPMAで組成分析すると,存在する相の組成範囲に点が現れ,それを詳細に解析すると相の存在組成範囲や相境界を決定できる.本年度は,このための,マルチプル拡散法の焼結法による試料作製方法を確立した. 今後は,マルチプル拡散法の試料を用いたCrMnFeCoNi合金の存在組成範囲を実験的に見積もる.そのために,まず,マルチプル拡散試料で得られる組成分布データの解析方法を検討し,それを CrMnFeCoNi に適用する. タイラインの抽出には,相境界をまたぎ隣接している測定点を結んだ線分はタイラインを示すことを利用する.また,この解析方法の確立には,状態図がある程度分かっている三元系Al-Fe-Si系をモデル系として使用する.この系を用いてアルゴリズムを確立し,それをCrMnFeCoNi系に応用する.
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