公募研究
次世代の高エネルギーコライダー実験に向けた高時間分解能をもつ半導体検出器の開発を行う。我々が主導的に開発している増幅機能付き半導体検出器(LGAD)は、世界最高レベルの時間分解能(約30ps)を達成していて、高エネルギー実験のみならず、他分野への応用が期待されている。2019年度から従来のLGAD検出器の位置分解能を劇的に改善する静電容量型のLGAD検出器(AC-LGAD)のプロトタイプを製造している。従来のように電極と増幅層が独立に配置されている構造では電極間に不感領域ができてしまう。これを防ぐため、一様な増幅層を配置し、酸化膜を介したアルミ電極から信号をAC的に読み出すことで不感領域をなくす。電極間での信号のクロストークを最小限にするためn+のドープ量を少なくし、抵抗値を上げた。昨年度製造したプロトタイプは高いn+抵抗値を実現し、信号サイズが大きくなり、信号の分離はノイズレート10-4に対して検出効率99.8%を達成した。これは、80umピッチのAC-LGADセンサーが完成したことを示す。この検出器を分子イメージング、医療、産業界等様々な分野に応用するために、赤外光や可視光領域に感度のある検出器を製造した。具体的にはアルミ電極をポリシリコン製の透明電極にすることで、これを実現する。アルミ電極のAC-LGADと同様の増幅層および電極の構造をもつポリシリコン製の検出器を製造し検査した。結果、赤外光に対してはほぼ100%、赤色光に対しては約60%の光透過率を実現した。今後は透過率の波長依存性や光量に対する電極の最適化等を行い実際の応用を実現していく。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Journal of Instrumentation
巻: 17 ページ: P05001~P05001
10.1088/1748-0221/17/05/P05001
JPS Conf. Proc.
巻: 34 ページ: 010016
10.7566/JPSCP.34.010016
IEEE, 28th International Symposium conference report
巻: 無し ページ: 無し