公募研究
本研究の目的は、エキゾチック原子のカスケード崩壊に伴い放出される特性X線を測定してエキゾチック原子種を同定する「エキゾチック原子法」によって宇宙線中の反原子核の観測を高度化するという本研究領域内の新機軸を探究することである。特に、エキゾチック原子法の中核を担うリチウムドリフト型シリコン(Si(Li))検出器の開発と高性能化を目指している。2019年度は、Si(Li)検出器の評価モデルを開発し、広い温度範囲での特性評価などの各種試験を通じて、Si(Li)検出器の高性能化に向けた基盤的データを取得した。また、エキゾチック原子法を用いた初の宇宙線反原子核観測計画であるGAPS実験の測定器構成を念頭に、2019年度はGEANTや機械学習を用いた数値シミュレーションコードの改良を行い、エキゾチック原子法の理解を深めるとともに、宇宙線観測に向けたSi(Li)検出器アレイの設計最適化検討を進めた。さらに、Si(Li)検出器を非破壊検査ツールとして他分野にも活用することを目指して、医療放射線用途などの応用検討に着手した。得られた成果は学会や学術論文で順次発表している。
2: おおむね順調に進展している
Si(Li)検出器の高性能化検討、エキゾチック原子法の理解の深化、宇宙線観測に向けた測定器設計の最適化検討、他用途への応用検討、をいずれも当初計画どおりに進めている。
2019年度の研究成果を踏まえ、Si(Li)検出器の高性能化検討や数値シミュレーションを用いたアレイ最適化検討など、本研究領域内の新機軸の探究に向けた研究計画を引き続き推進する。
すべて 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 947 ページ: 162695~162695
10.1016/j.nima.2019.162695
Journal of Instrumentation
巻: 14 ページ: P10009~P10009
10.1088/1748-0221/14/10/P10009
http://gaps.isas.jaxa.jp/