研究実績の概要 |
本研究は、単一遺伝子異常で発達障害の症状をきたす症候群を対象に、マウスを動物モデルに使って、タンパク質の量的制御、細胞内局在・動態の情報を網羅的に収集することを目的とした。そのために、SLENDR法およびvSLENDR法 (Mikuni et al., Cell 2016; Nishiyama*, Mikuni* et al., Neuron 2017) を駆使して、マウスの生体脳内で疾患細胞モデルをモザイク状に作り出し、その細胞モザイク下で内在性タンパク質の細胞内局在や動態のイメージングをハイスループットに行う方法を確立した。さらに、様々な対象タンパク質の発現量や細胞内局在をイメージング解析できるようにした。具体的には、子宮内電気穿孔法を使うSLENDR法、またはアデノ随伴ウイルスベクターを使うvSLENDR法を用いて、マウス大脳皮質の2/3層の錐体細胞で疾患遺伝子モデリングと標的タンパク質の可視化を行った。対象タンパク質は、シナプス機能や細胞内シグナル伝達に関わる様々なタンパク質で、本研究期間に数十種類のタンパク質を可視化できるようにした。共焦点顕微鏡や二光子顕微鏡を用いて、固定脳スライスおよび培養スライスでのイメージング、個体でのin vivoイメージングを行い、標的タンパク質の定量的イメージング解析を行った。これらの研究により、生体脳内での発達障害細胞モデリングとハイスループットな分子イメージング解析が可能となり、発達障害の病態解明のための新たなアプローチが確立され、このアプローチを使って様々な分子の細胞内局在・動態の情報を収集した。
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