研究実績の概要 |
本研究では精神疾患発症におけるミクログリアの関与について検討する。 統合失調症などの精神疾患では血液脳関門(BBB)の透過性が増大することが知られている。そこで本研究ではまずミクログリアのBBB透過性に対する寄与を検討した 全身炎症時において、ミクログリアが血管周囲に集積することを明らかにした。また炎症早期にはミクログリアは血管基底膜に浸潤し、血管内皮細胞と結合しタイトジャンクションを形成することでBBBの透過性に保護的に作用し、炎症後期にはアストロサイトの足突起を貪食することでBBBの透過性増大を引き起こすこと、さらにその分子メカニズムを明らかにした(Haruwaka et al., Nature Commun, 2019)。つぎに胎生期における炎症が精神疾患の発症に寄与することに着目し、胎生期の炎症が免疫細胞であるミクログリアのエピジェネティックな変化を引き起こし、思春期のストレス負荷によって統合失調症が発症すると言う仮説のもと、胎生期の炎症モデルマウスの5週齢に拘束ストレスを負荷したところ野生型のマウスでは鬱様症状が出現し、オープンフィールド試験で行動量が減少するのに対し、胎生期炎症モデルマウスでは行動量が増加することがわかった。領域内共同研究により、現在このDNAメチルかを検証している。さらにこのマウスのシナプス変化・神経回路活動変化を2光子顕微鏡による生体イメージングで検証中である。
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