公募研究
本研究ではミクログリアによる精神疾患の関与を解明する研究を行った。ミクログリアはこれまで成熟期においてシナプスなどの恒常性を維持する働きがあることがわかっている。近年全身炎症などが精神症状に寄与することが知られているが、この全身炎症に伴ってミクログリアが血管にCCL5-CCR5のシグナルによって遊走し、炎症早期はCldn5を発現することによって血液脳関門(BBB)の透過性に保護的に作用すること炎症後期においてはCD68を発現することによって、BBBの透過性を増加させることを明らかにした。これによってBBBを介した精神疾患の治療戦略を組み立てることができるようになった。さらに妊娠中のマウスに炎症を引き起こすことで児の自閉症を引き起こすことが知られているが、この際に増加するサイトカインプロファイルを明らかにし、ミクログリアの成熟を促すマーカーの変化を伴うこと、さらにこの極性が行動異常と相関することから、ミクログリアの動態の極性を誘導することで、その生理機能を損なうことを明らかにした。また2Hit論理で統合失調症様症状を発症するモデルマウスの創出に成功し、このマウスにおけるミクログリアのエピゲノム変化が成熟期の発現分子変化およびシナプスに対する作用を変化させることを長期生体イメージングを用いて明らかにし、さらにこのエピゲノムの変化がストレスによって行動異常をもたらす分子基盤及び神経回路基盤を明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
Science Advances.
巻: - ページ: -
Scientific Reports
巻: 10 ページ: -
10.1038/s41598-020-78294-2
Nature
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