研究領域 | 配偶子インテグリティの構築 |
研究課題/領域番号 |
19H05237
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
原 健士朗 東北大学, 農学研究科, 准教授 (60551546)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 精細管 / 組織液流 / 精子 / ウシ / マウス |
研究実績の概要 |
ウシで機能的精子を産生する体外培養系が構築できれば、種雄の個体飼育が不要になり、ウシ生産の高効率化が期待できる。本研究では、精細管内フローの再現がウシ体外精子形成を促進する可能性を検証するため、精細管内フローを再現する培養技術の開発、精細管内フローが精子形成に及ぼす影響解析を行う。 本年度は、マウス・ウシ成体精巣の精細管を用いた新規マイクロ流体デバイスの開発を行った。血管組織培養で報告されているマイクロ流体デバイスを参考にして、精細管の内腔・外側にそれぞれ別の流路を備えたマイクロ流体デバイスを設計し、鋳型を作成後、PDMS素材で実機を作成した。同機の中に精細管を送達・静置することが可能であったが、精細管が思いのほか壊れやすく、再現性に問題があった。これについては、マイクロインジェクタを用いて精細管へのダメージを抑えつつ送達することで解決可能であった。一方、精細管の内腔に液を流す際に、管が動いてしまう点が問題であり、管を保定する方法を考慮する必要が生じた。これについては、精細管の外に新たな小流路を設け、陰圧にして精細管を吸引保定する対策を検討した。なお、ウシ精細管は屈曲した部分が多く、ウシ精細管用の流路形状の微修正が必要な点が課題として残った。以上の検討の結果、精細管用マイクロ流体デバイスの試作機が完成し、今後、ウシ精細管に適した形状の微修正、内腔フローの再現とその影響を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス精細管を用いてデバイス試作機を作成したが、ウシ生体材料入手と実験実施に遅れが生じている。このため、やや遅れていると判定した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、R1年度に作成したマウス用マイクロ流体デバイスに基づいて、ウシ精細管に適した形状の微修正、内腔フローの再現とその影響を検討する予定である。これにより、精子形成における精細管内腔フローの重要性を解明し、新たな生殖技術・畜産技術の基盤技術を構築する。なお、昨年度の学術会議において、マイクロ流体デバイスにおけるフロー解析がうまくいかなかった場合の対策を講じるように助言頂き、多角的な手法による組織液フローの重要性解明のため、in vivoにおける精細管内フロー阻害の影響解析、異個体皮下への精巣移植における精細管内フロー再現の影響解析、を同時進行で進める予定である。
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