公募研究
ウシで機能的精子を継続的に産生する体外培養系が構築できれば、種雄の個体飼育が不要になり、畜産業におけるウシ生産の高効率化、さらには動物資源生産の安定化が期待できる。本研究では、生体内の精子形成において重要と考えられる精細管内フローに着目して、ウシ精巣培養技術の改良を試みた。R3年度は、ウシ精細管を、前年度に作成したマイクロ流体デバイス内に静置し、内腔フローの再現を試みた。前年度に課題となっていた精細管の位置制御については微動インジェクターの使用により再現性良く制御することが可能となったが、流路内に圧を印加したところ、管内内腔の抵抗が予想よりも大きく、流れが管の外側に逃げ、内腔フローを再現することが出来なかった。この点については、その後も種々の検討を行ったものの、内腔フローを生じさせてその影響を検討するという当初の目的を達成することが出来なかった。一方、当初の計画になかった進捗としては、計画班が開発したPDMS製のカバーを用いて組織構造を薄い板状で培養することで、ウシ精巣片内の精細管の構造維持率および生殖細胞の生存性を向上させることができた。ウシ精巣培養におけるガスや栄養環境の均一化の重要性を示すものであったが、減数分裂以降の分化の再現は依然として課題として残った。今後、ウシ精巣培養下で生殖細胞の分化を阻害する要因を探索し、これを取り除くことで、ウシ体外精子形成技術の改良を進める予定である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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