研究領域 | 配偶子インテグリティの構築 |
研究課題/領域番号 |
19H05242
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
諸白 家奈子 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (90815250)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 体外培養 / 一次卵胞 |
研究実績の概要 |
絶滅危惧種動物や有用家畜の遺伝資源を有効利用するためには、凍結保存した卵巣あるいはiPS細胞由来の未発育卵母細胞を体外で発育させる培養技術が不可欠である。 しかしながら、特定のマウス系統あるいはマウス以外の動物種では、未発育卵胞・卵母細胞を体外に取り出し発育させ産子を獲得する技術は未だ確立されていない。そこで本研究では、様々な動物種・系統に応用可能な汎用性の高い培養系の構築をめざし、①マウス系統間での体外培養卵巣および卵胞の発育差異が生じるメカニズムについて基礎的データの収集、②種々のマウス系統に汎用できる体外卵巣・卵胞培養システムの開発を行っている。さらにマウスで得られた成果を応用し③ウサギ未発育卵母細胞の体外培養系の確立をめざす。 令和元年度は、①マウス系統間での体外培養卵巣および卵胞の発育差異が生じるメカニズムについて基礎的データの収集するため、3系統の新生子卵巣を同一条件下で体外培養し、卵胞発育能を免疫組織化学的に解析した。その結果、卵巣内卵胞の体外発育能はマウス系統間で異なる知見が明らかとなった。また、②種々のマウス系統に汎用できる体外卵巣・システムを開発するため、マウス単離一次卵胞の体外培養系の改良を行った。培養過程で顆粒層細胞が卵母細胞から剥離する問題を改善することで、これまでに報告されてきた方法と比較して、簡便かつ効率的に単離一次卵胞から成熟卵を産生することが可能になり、さらにその後の胚盤胞期胚の作出が可能であることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス系統間での体外培養卵巣および卵胞の発育差異が生じるメカニズムについて基礎的知見を収集できたことに加え、同時並行で単離一次卵胞の体外培養系に着手したことで、概ね当初の計画どおりに研究を進めることができている。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度は概ね当初の計画通りに研究が進んだことから、初年度の成果を基に培養卵巣内におけるステロイドホルモンレセプターの発現解析を実施し、卵巣内卵胞の体外発育能はマウス系統間で異なる要因について詳細に解析後、種々のマウス系統に適した体外卵巣・卵胞培養システムの改良を行う。またウサギ未発育卵母細胞の体外培養系の確立をめざし、ウサギ卵胞の単離方法の検討および卵胞発育の基礎的知見の探索を実施する。
|