研究領域 | 遺伝子制御の基盤となるクロマチンポテンシャル |
研究課題/領域番号 |
19H05255
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤芳 暁 東京工業大学, 理学院, 助教 (70371705)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 一分子観察 |
研究実績の概要 |
近年、生物顕微鏡の技術が飛躍的に進歩している。しかし、その中にも、細胞内部を分子レベルで画像化する方法は存在しない。そこで、研究代表者らは 15 年かけて、このような画像化 ができるクライオ蛍光顕微鏡の開発をおこなってきた。その結果、2017 年に、蛍光色素 (ATTO 647N)の三次元位置を精度 1 nm で1分子観測することに世界ではじめて成功した。この 実験は細胞外で行われたものである。本研究の目的はこの技術を細胞内部の観察に応用することで、前人未踏の細胞内部の分子レベルイメージングを実現する。 上記のような目的に対して、2019年度は二つの課題に取り組んだ。課題 A として、RNA ポリメラー ゼ II による転写とヒストン修飾について分子レベルの画像化を目指した。その結果、クライオ超解像蛍光顕微鏡用の近赤外蛍光性色素の開発に成功した。領域代表である木村宏先生との共同研究により、細胞内のRNA ポリメラー ゼ II やヒストンをこの近赤外蛍光性色素で標識することに成功した。課題 B として、クライオ蛍光顕微鏡の長時間(10時間程度)安定性をオングストロームレベルに向上させ、蛍光画像の品質を向上させることを目指した。具体的には、温度安定性が1/1000℃という水(またはプロピレングルコール水溶液)を顕微鏡の表面に配置した熱交換器の中を循環させることで、顕微鏡の温度安定性を10時間に渡り、peak to valleyで0.01℃に抑え込むことに成功した。その結果、顕微鏡のイメージ安定性が10時間で6 nm(peak to valley)に抑えることに成功した。これはまぎれもなく、世界最高の安定性を持ったクライオ蛍光顕微鏡である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度は、課題Aと課題Bの二つの課題に取り組んだ。課題Aは当初の計画通りに進み、課題Bは予想以上の成果を上げることができた。よって、全体としては、(1)当該研究は、当初の計画以上に申請している。 課題 B として、クライオ蛍光顕微鏡の長時間(10時間程度)安定性をオングストロームレベルに向上させ、蛍光画像の品質を向上させることを目指した。具体的には、温度安定性が1/1000℃という水(またはプロピレングルコール水溶液)を顕微鏡の表面に配置した熱交換器の中を循環させることで、顕微鏡の温度安定性を10時間に渡り、peak to valleyで0.01℃に抑え込むことに成功した。その結果、顕微鏡のイメージ安定性が10時間で6 nm(peak to valley)に抑えることに成功した。これはまぎれもなく、世界最高の安定性を持ったクライオ蛍光顕微鏡である。
|
今後の研究の推進方策 |
上記のように、当該研究は当初の計画以上に進展している。よって、申請書の通り、2020年度は研究を進める予定である。しかし、コロナウィルス感染のために、現在、大学が閉鎖されている。そこで、もし閉鎖が長期に渡る場合には、課題Aの「RNA ポリメラー ゼ II による転写とヒストン修飾について分子レベルの画像化」を集中して実現することを目指す。
|