研究領域 | 遺伝子制御の基盤となるクロマチンポテンシャル |
研究課題/領域番号 |
19H05272
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
佐瀬 英俊 沖縄科学技術大学院大学, 植物エピジェネティクスユニット, 准教授 (70510006)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | ヘテロクロマチン / トランスポゾン / シロイヌナズナ / イネ |
研究実績の概要 |
研究課題名:植物における遺伝子内ヘテロクロマチンの制御と機能 動植物のゲノムでは進化の過程で遺伝子内の非翻訳領域(イントロンやUTR配列)に転移因子(トランスポゾン)が大量に蓄積されている。興味深いことにこうした遺伝子内転移因子(intragenic transposons)は遺伝子間にある転移因子と同様に、抑制的クロマチン修飾であるヒストンH3K9メチル化やDNAメチル化を受けてヘテロクロマチン化している。しかしながら、転写が活発な遺伝子領域のクロマチン環境下でヘテロクロマチン構造がどのような分子メカニズムで維持されているのか未だ不明な点が多い。本研究計画では遺伝子領域に存在するヘテロクロマチン制御の分子メカニズムと、遺伝子発現制御におけるその機能・進化を植物モデルを用いて明らかにすることを目的としている。2019度は、イネにおけるヘテロクロマチン化したイントロンがどのような分布をしているか解析し、全イネ遺伝子のおよそ10%がイントロンにヘテロクロマチンを持つことを見出した。このことは、ヘテロクロマチンが遺伝子の一般的な構成要素であることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
イネにおけるヘテロクロマチン化したイントロンがどのような分布をしているか解析し、全イネ遺伝子のおよそ10%がイントロンにヘテロクロマチンを持つことを見出した。このことは、ヘテロクロマチンが遺伝子の一般的な構成要素であることを示している。この研究結果を論文として発表した(Espinas et al PloS Genetics 2020).
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、転写されている遺伝子内にヘテロクロマチンが存在することでRNAの転写がどのような影響を受けるのか明らかにする。具体的にはシロイヌナズナを対象にH3K9メチル化やDNAメチル化、siRNA生合成に異常を起こすシロイヌナズナ変異体の解析から遺伝子内でヘテロクロマチンが維持できなくなった状態で遺伝子内ヘテロクロマチン領域の転写がどのように変化するのか検証する。
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