公募研究
正確な遺伝子発現は生命現象の根幹であり、その破綻や異常は様々な疾患の原因となる。細胞は異常な翻訳伸長阻害を認識し排除する品質管理機構を保持している。研究代表者は、連続した塩基性配列を持った新生鎖が翻訳伸長反応を停止させる結果、新生鎖のユビキチン化とプロテアソームによる迅速な分解(RQC)を世界に先駆けて報告した。E3ユビキチンライゲースRQT1が、特異的な翻訳停止状態のリボソームを認識し、リボソームタンパク質uS10をユビキチン化することが、翻訳品質管理の普遍的な分子機構である。本公募研究では、ユビキチン化によるRQCの新規制御機構として、ユビキチン化によるRQCの新規制御機構の解明を目的とする。本年度は、脱ユビキチン化酵素によるRQC促進機構を発見し、2つの脱ユビキチン化は独立な経路でRQCを促進することを明らかにした(投稿準備中)。また、次に、新規E3ユビキチンライゲースによるRQC抑制機構を解明した。RQCを抑制する機能を持つ新規E3ユビキチンライゲースのクリーニングを行い、候補因子を同定した。RQCにおける翻訳伸長途中でのサブユニット解離という新規反応を担うヒトRQT複合体を同定した(Sci Rep., 2020)。リボソームユビキチン化の生理機能について解析を行い、出芽酵母における小胞体ストレス時の新規な翻訳制御機構を発見し、E3ユビキチンライゲースNot4によるリボソームタンパク質eS7のユビキチン化が必須であることを明らかにした(BBRC, 2020; Sci. Rep. 2020)。またmRNA安定性決定機構としてCcr4-NOTが翻訳伸長速度を感知して分解速度を決定する分子基盤を明らかにした(Science, 2020)。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)
Science
巻: 368 ページ: 281
10.1126/science.aay6912
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 528 ページ: 186-192.
10.1016/j.bbrc.2020.04.104
Sci. Rep.
巻: 10 ページ: 19669
10.1038/s41598-020-76239-3
http://www.inada-lab.ims.u-tokyo.ac.jp