公募研究
膜タンパク質へのUb化は、エンドゾームなどへの輸送のほか、ESCRT-IIIを活性化することで膜切断を引き起こし、小胞出芽を誘導すると考えられている。多くのエンベロープウイルスが細胞から脱出するときにも、ESCRTタンパク質などUb化システムが必要とされるが、実際に積荷タンパク質自身に対するUb化が直接膜切断を誘導している証拠はほとんどない。またウイルスは、さまざまなUbリガーゼの標的を変化させることが知られており、ウイルス感染細胞におけるUb化状態を包括的に理解しなければ、ウイルス出芽におけるUb化の意義を知ることができないと考えられる。本研究ではユビキチンテクノロジーを創出し、それを駆使することで、小胞出芽の分子機構の理解と制御を行い、ケモテクノロジーと細胞生物学との融合を試みた。ヘルペスウイルスは核内でゲノム複製を行うため、核内においてゲノムを内包したカプシドを形成する。このカプシドは、核内膜から出芽し、核膜間にエンベロープに包まれた小胞を形成する。今年度は、核内膜の出芽に必須のウイルス因子NECに注目した。NECに変異を導入することで、NECが核膜間に小胞を形成する分子機構の解明を目指した。NECに網羅的に変異を導入し、解析を行ったが、膜切断やESCRT-IIIとの関係に変化を及ぼすものは得られなかった。しかしこれらの研究の過程に興味深い変異体2種類について、詳細に解析を行った。また、核内膜における小胞形成の生理学的な意義を解析する過程で、このシステムがラミンA遺伝子への変異によって引き起こされる遺伝性疾患であるHGPSの病態発現を抑制していることを明らかにした。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
神戸大学大学院医学研究科附属感染症研究センターのホームページにおいて、研究業績公表および研究プロジェクトの説明を行っている。
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J Virol.
巻: 95 ページ: e01413-20.
10.1128/JVI.01413-20
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Sci Rep.
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https://www.med.kobe-u.ac.jp/virol/index.html