研究領域 | 時間生成学―時を生み出すこころの仕組み |
研究課題/領域番号 |
19H05313
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
林 正道 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究員 (50746469)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 時間知覚 / 経頭蓋磁気刺激 / 脳機能イメージング / 知覚学習 |
研究実績の概要 |
これまでの研究代表者らの研究により、ヒトの右下頭頂小葉(rIPL)と呼ばれる脳領域の応答が特定の時間長の刺激の繰り返し呈示によって抑制されること、さらにrIPLの応答が主観的時間を反映していることが発見された。しかしながら、これらの先行研究で示されたrIPLの時間長選択性と主観的時間の関係は、あくまで相関関係であり、因果関係は明らかではない。そこで研究代表者らは今年度、これらの因果関係を明らかにするために2つの予備的実験を実施した。
まず、視覚刺激による時間長の学習によって時間弁別閾値が向上するかをまず行動レベルで確認するため、実験を行った。実験は参加者一人あたり5日間かけて行い、初日と最終日に時間長の弁別閾値を計測した。間の3日間は一日一時間ほど、知覚課題あるいは運動課題による時間長の学習を行った。その結果、訓練効果には大きな個人差があることが明らかになった。訓練効果が見られなかった参加者は、時間弁別閾値が実験初日から低かったために学習の効果が現れにくかった可能性が考えられた。今後は大多数の参加者で学習を促進することができるように、訓練課題および訓練期間を調整して研究をさらに進めていく予定である。
また別の実験では、シータバースト刺激と呼ばれる磁気刺激プロトコルを用いて脳活動を干渉し、脳刺激の前後で時間長の弁別閾値が変化するかを調べた。その結果、コントロール条件と場合に比べて、rIPLおよび補足運動野を刺激した際に弁別感度が低下する傾向が見られた。しかしながら、実験データからは磁気刺激の効果にも非常に大きな個人差があることが示された。次年度には当該年度で得られた知見に基づき実験課題および磁気刺激プロトコルを改善して、本実験を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた2つの研究計画を並行して進めることができた。どちらの研究においても、今後の課題を明らかにすることができ、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の実験で明らかになった実験課題および脳刺激プロトコルの問題を改善し、本実験を実施する予定である。
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