公募研究
不愉快な出来事を経験しているときには、時間の流れを遅く感じる。このような、”情動が時間知覚に与える影響”は成人を対象とした心理物理学実験で確認されてきた。しかし、”情動が時間知覚に与える影響”の発達的変化に関しては世界的にも研究が少ない。本研究では、心理物理学計測と神経内分泌学測定を併用し、”情動が時間知覚に与える影響”の発達過程とその個人差を検証することを目的としている。研究成果の現状は、以下の通りである。成果①:若年成人を対象に、fNIRSを用いた非侵的脳機能計測を行った。その結果、顔画像の持続時間知覚課題遂行中に、運動前野・背外側前頭前野の一部が、特異的に賦活されることを見いだした。さらに、これら領域の一部において、持続時間知覚課題中における賦活レベルが、顔画像の表情の影響を受けることを見いだした。本研究のパラダイムを用いた脳機能活動計測は、未就学児~思春期児童にも適用可能であるため、今後は、本研究で見いだした大脳皮質活動の発達的変化を検証していく予定である。成果②:視聴覚情報の時間的同期/非同期性に対する、乳児の生理学的応答を計測するための新たな実験系を確立した。この実験系では、視聴覚動画を観察中の乳児の顔動画像から、脈波変動を非接触で計測する。さらに、動画像を深層学習モデルにより分析し、表情、瞬きの頻度・タイミングなどの情報を得ることが出来る。乳児かける負担を最小限に抑えつつ、マルチモーダルな情報を収集できるこの実験系を活用し、乳児期におけるsub-second timing処理の発達過程を検証する予定である。
4: 遅れている
COVID-19の感染拡大で、所属機関への入構が禁止されており、ヒトを対象とした実験的研究が行えない状態にあるため。
COVID-19が収束し、ヒトを対象とした実験的研究を開始でき次第、早急に各所にコンタクトをとり、必要なデータを収集する。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Research in Developmental Disabilities
巻: 99 ページ: -
10.1016/j.ridd.2020.103593
Journal of Physiological Sciences
巻: 69 ページ: 1-12
10.1007/s12576-019-00729-x
Frontiers in Behavioral Neuroscience
巻: 13 ページ: -
10.3389/fnbeh.2019.00261