本年度は骨格筋組織の収縮により駆動するバイオハイブリッドソフトロボットの応用可能性の実証と複数筋組織の協調により駆動するバイオハイブリッドソフトロボットの実現を目標として研究を行った。 骨格筋組織の収縮運動で動くバイオハイブリッドソフトロボットとして、まず水中を泳ぐことが可能なソフトロボットの創出に成功した。魚形状を持つゴム状の柔軟ロボット骨格上に骨格筋組織を設置することで、電気刺激負荷による筋収縮によってヒレを動かし、泳げることを示した。このとき、柔軟ロボット骨格上での培養で骨格筋組織を構築すると収縮特性が減少してしまうことを見出し、他のデバイス上にて構築した骨格筋組織を移設することで、バイオソフトロボットが筋収縮で駆動可能になることを明らかにした。 さらに、複数の骨格筋組織の協調によって駆動するバイオハイブリッドソフトロボットとして、カエルから採取した骨格筋を前年度より培ってきた外骨格構築技術に融合させることで、拮抗する2つの骨格筋の伸展・収縮で空気中でカニの手のように動くグリッパの創出にも成功した。拮抗筋を用いることで大きな駆動を実現でき、ウズラの卵や遠沈管などを把持して持ち上げることが可能になることを示した。 以上のように、泳動するバイオハイブリッドソフトロボットから2つ骨格筋の協調により駆動するバイオハイブリッドソフトロボットを実現しており、本年度の目的を達成できたと考えている。
|