研究領域 | ソフトロボット学の創成:機電・物質・生体情報の有機的融合 |
研究課題/領域番号 |
19H05324
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 江 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (20641880)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ソフトロボティクス / 油圧アクチュエータ / ヒューマノイド |
研究実績の概要 |
やわらかい材料で作った構造を油圧で制御するソフト油圧ロボティクスによって、やわらかさと力強さを両立するロボットハンドの開発を行った。 1.ロボットハンドに用いる指部の試作と設計を繰り返し、油圧で駆動するために最適な指部の設計を模索した。試作には領域の共有設備である3Dプリンタを使用し、油圧配管との接合部に硬い樹脂系材料を用い、やわらかく変形する指部にはゴム状の素材を用い、それらを3Dプリンタで一体成型する方法が油圧駆動に適している、という知見が得られた。 2.設計した指を駆動する小型油圧ポンプの設計を行った。 3.指2本からなるロボットハンドを試作し、それを用いて2.5kgの物体の把持実験を行った。これは他のソフトロボットの関連研究に比べて重い物体の把持に成功したことになる。 高圧の状態を長時間保つと指が破損する等の課題はあるが、ソフト油圧ロボットによりやわらかさと力強さを両立するロボットハンドの基礎的な検証が完了したと言える。指の圧力や屈曲角の制御性能を向上させることが今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 油圧駆動に適した指部の設計について検討を重ねた。指の3次元形状を設計した後、それを有限要素解析することで圧力を加えたときの変形を事前にシミュレーションし、設計について確認した。その後、3Dプリンタによって実際に製作し、油圧駆動による実験を行った。当初はすぐに指部が破損したり、油圧配管との接合部から油が漏れる等の不良がでたが、設計→有限要素シミュレーション→試作→実験→再設計を繰り返すことで、油圧駆動に適した形状や材料の配置等の設計の知見が得られた。 2. 従来研究を参考にロボットハンドの手首部に収まるサイズで、最大10MPa程度の高圧力を出すことが可能な小型ポンプを設計し、製作・組み立て作業を行っている。 3. 出力5MPaのポンプを使って試作した指を動かす実験を行った。設計・シミュレーション・試作を繰り返した後、2.5kgの重りを把持する実験に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
1.試作したロボットハンドを使って10kgの重量把持実験に取り組む。 2.ロボットハンドの制御について、やわらかい指の形状変化を画像処理によって取得し、それをフィードバックすることで指の屈曲角を制御する方法を実装し、物体把持能力を向上させる。 3.今年度はロボットの手の開発に注力した。次年度は当初の計画通り、ロボットの足についても研究を進める。
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