研究領域 | ソフトロボット学の創成:機電・物質・生体情報の有機的融合 |
研究課題/領域番号 |
19H05325
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池内 真志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 講師 (90377820)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ソフトロボティクス / 胚移植 / 光造形 / 磁気駆動 / 3Dプリンタ |
研究実績の概要 |
生殖補助医療における胚移植後に,胚が子宮内を浮遊して着床好適部位から離れることを防ぐことにより,着床成功率を高め,子宮外妊娠リスクを抑制することが期待される.そのために,胚を収容したマイクロロボットを経腟的に子宮内に送達し,外部磁場により着床位置を制御するシステムを開発している.本研究では,主に機械工学的観点から,この新規治療システムの安全性,有効性を検討している.本年度は,柔軟素材からなるマイクロロボットの,子宮内での磁場による位置保持力を評価する実験系を構築し,ハイドロゲル模型およびウシ臓器を用いて,様々な条件下での固定力を測定した.その結果,標準的な体形の場合,マイクロロボットの臓器表面での静止摩擦力は90mgf,垂直抗力は100㎎fとなった.マイクロロボットの本体質量は30mgであるため,この結果から,マイクロロボットは3G程度の加速度まで位置保持が可能であるといえる.また,並行して,マイクロロボットの試作を効率的に進めるため,無色透明柔軟樹脂を用いた3次元マイクロ光造形の造形条件を確立し,XYZ方向いずれも100マイクロメートル以下の分解能で柔軟な構造が作製できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胚移植マイクロロボットおよび搬送カテーテルなど,提案手法に必要な機器一式の試作を達成し,臓器モデルなどの評価実験系も構築できたため,おおむね順調に進捗している.年度後半においてCOVID-19による実験休止のため,マイクロロボットからの胚の放出機構の検証が行えなかったが,一方で,当初計画になかった柔軟素材の3次元マイクロ光造形が可能となり,試作効率が上がったため,次年度,実験再開後に当初計画に復帰できる見込みである.
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今後の研究の推進方策 |
a) ヒト生殖器模型を用いたデモンストレーション 前年度に開発した胚移植用デバイスおよび搬送用水圧駆動カテーテルを用いて,本研究で提案する治療プロトコールを一貫して,デモンストレーションする.その過程で,以下の4項目について検証する.①水を満たした子宮内でのカテーテル先端の屈曲角度制御,②カテーテルから放出後の胚移植用デバイスの形状復元性,③外部磁石による胚移植用デバイスの子宮壁面への固定ならびに固定力の計測,④超音波エコーによるカテーテル先端部の視認性 b) マウス胚を用いたin vitro 検証 マウス胚を用いて,柔軟な膜変形機構を利用した,マイクロチャンバからの胚放出機能および,胚に対する安全性を検証する.また,その後,胚培養を3日~1週間継続し,胚盤胞到達率を通常の培養容器を用いた場合と比較する.さらに,スムーズに計画が進んだ場合は,得られた胚盤胞を親マウスに移植して出産まで行い,子マウスに異常がないか確認する. c) 動物を用いたin vivo 検証 ウサギなどの中型動物を用いて,本研究で提案する治療プロトコールを一貫して,デモンストレーションする.
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