研究領域 | ソフトロボット学の創成:機電・物質・生体情報の有機的融合 |
研究課題/領域番号 |
19H05327
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
葭田 貴子 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80454148)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | fMRI / 外骨格パワーサポートロボット / ソフトアクチュエータ / 操作主体感 / 自己身体所有感 |
研究実績の概要 |
ソフトアクチュエータを人の外骨格ないし内骨格型パワースーツとして使用し,健常者のパワーサポートや身体制御過程に困難がある患者のロボットリハビリテーションに使用する際に,着用者にとってそのロボットが自己身体の一部となり(自己身体所有感,Ownership),自分自身がそれを制御しているのであって,ロボットに受動的に身体を動かされているのではない(制御主体感Sense of Agency)という感覚を計測・可視化する方法論を確立する.ここでは特に,ソフトアクチュエータがfMRIのような高磁場利用の脳や身体機能イメージング機器に写り込まず,かつ通常のアクチュエータと異なり高磁場でも問題なく稼働する性質を利用し,一般的な心理物理学的測定方法に加えて,外骨格型ロボットを着用したままのヒトの脳や身体を直接計測・可視化し,可能であればそれらをデコードしてロボットの制御パラメータにフィードバックするシステムのプロトタイプ,もしくはそのモジュールの一部制作を最終目的としたい.これらの機器の製作を安全評価を実施しながら並行して,ロボットの動作の時間遅れが我々の心身に与える違和感や,ヒトの様々な錯覚を利用したその軽減方法,長期間のアクチュエータ使用が我々の心身を変化させていく脳の可塑性等を検証する.これら一連の研究を通じて,ソフトアクチュエータ利用の外骨格型パワーサポートスーツを設計する際,ヒトであるユーザの脳と身体特性を利用することで,ある意味どこまで不真面目にいい加減に作っても,ヒトにとって違和感なく自分自身の身体に馴染みうるか,その具体的な物理量を特定し公表することを目標とした.この目的を達成するために,初年度の今年は,ソフトアクチュエータによる上肢用外骨格パワーサポートロボットと,ヘッドマウントディスプレイ内のCGの手腕が連動し,ヒトに様々な視-触覚の錯覚を与える機器を製作した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型の強度の高いアクチュエータの市場投入が遅れため,それを利用した機器の製作や安全評価に遅れが発生している.加えて,年度末から新型コロナウイルス対応に伴う種々の活動規制により,他大学と新たに始めた共同研究に関して,制作物を実際に手にしての研究打ち合わせがやりにくい状態になっており,その部分に関しては次年度以降も進捗の遅れが見込まれる.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス対策のため,ヒトを対象とした研究の実施に制限がついた状態が続いているほか,東京都など県外への外出自粛規制がある都道府県からは脳機能イメージング機器の利用申請を受け付けない研究施設があり,ヒトを対象とした実験そのものは,年度末から凍結の状態.これまで実施した研究成果の取りまとめを実施しつつ,研究再開のタイミングを計る.
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