研究領域 | ソフトロボット学の創成:機電・物質・生体情報の有機的融合 |
研究課題/領域番号 |
19H05334
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
中村 太郎 中央大学, 理工学部, 教授 (50315644)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 蠕動運動 / 腸管神経系 / ソフトロボティクス / 機械学習 / 自律分散 |
研究実績の概要 |
蠕動運動は構造的柔軟性が高いゆえに「外部環境や外部刺激の変化に影響を受けやすいソフトロ ボット機構」である.本研究では蠕動運動型駆動システムに対して,外部環境の変化に柔軟に適応 できる制御系設計の確立を目的とする.特に本申請では,大腸の柔らかい運動機能を規範とした「蠕 動運動型ポンプ」に着目し,高粘度・固液流体の連続的な混合・搬送プロセスに生物的創発性の高 い制御系を適用する. 生物の独特の動きである蠕動運動は「柔軟駆動」「非骨格機構」「分散制御系」であり,ソフトロ ボット学のキーテクノロジーとして注目を浴びている.実際の生体大腸の運動は「第2の脳」と称 されるほど多数の神経ネットワークを駆使して効率よく駆動しているが,その詳細な仕組みについ てはわかっていないことも多い.そこで本蠕動ポンプにおいてもこれらの複雑なパラメータと 被搬送流体の流動との相関関係が,自律分散制御やAI系の深層学習等の生物学的創発性の高い制 御法の適用により明らかになれば,理学的興味として「生体大腸の蠕動運動による搬送・混合プロ セスの解明」,工学的興味として「蠕動ポンプの柔らかい運動に適した,さらなる効率的な搬送・ 混合手法の確立」につながると考えた. 本申請では特に「環境からの外的刺激を分散的にセンシングする方式の確立」「自律分散制御や深層学習を用いた生物学的創発性の高い制御法の適用」について検討する 2019年度は、特に「蠕動ポンプの柔らかい運動に適した,さらなる効率的な搬送・ 混合手法の確立」について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2019年度の主な課題として、「環境からの外的刺激を分散的にセンシングする方式の確立」について検討した。具体的には検討を以下にしめす。 、各ユニットに付属するセンサは,ポンプの各ユニットの空気圧チャンバ部に印加する空気流量と圧力,ユニットの収縮量 を計測する距離センサを使用する.これらの情報を導出された定常モデルを用いて内部状態を推定する. なお,接触センサや曲げセンサなどは,被搬送流体によって変形した内部チューブの形状を直接的 にセンシングするにはよい方法ではあるが,配線が多数複雑となり好ましい方法ではないと判断した。 その結果、本センシング手法を用いることによって搬送対象文体の体積率・粘弾性について計測することが可能となった。 さらに当初の計画以上の成果として、これらのセンサを装着したポンプによる混合対象物の混合度合いについてのセンシングについて、機械学習を用いることで、固液の分離状態から混合状態のプロセスをリアルタイムでセンシングできる可能性を示した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度はユニット単体での運搬・混合物の状態センシングだけでなく、ユニットを統合させて状態で、混合しながら内部状態を先進できる手法について確立した。 2020年度はこれらのセンシング手法を発展させて、リアルタイムでのセンシング手法を確立し蠕動ポンプによる混合と運搬の切り替え制御を確立していく。また、自律分散制御および機械学習による効率的な混合制御手法についても検討を進める。
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