研究領域 | ソフトロボット学の創成:機電・物質・生体情報の有機的融合 |
研究課題/領域番号 |
19H05337
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
平井 慎一 立命館大学, 理工学部, 教授 (90212167)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ソフトコンタクト / ソフトロボティクス / 力学 / 相互作用 / モデリング |
研究実績の概要 |
本研究では,ソフトロボットの身体と環境との接触を,ソフトコンタクトと称し,ソフトコンタクトの力学を解明するとともに,望ましいソフトコンタクトを生み出すための形態や構造,材料を明らかにする.2019年度は,ソフト触覚センシング,ソフトロボットの跳躍を対象として,ソフトコンタクトにおける力学を定式化するとともに,ソフトコンタクトにおける望ましい系の挙動を実現するために,ソフトロボットのボディの形態や構造,材料を設計することを試みた. ソフト触覚センシングに関しては,キャパシタンスベースのソフトセンサを対象とした.キャパシタンスベースのソフトセンサの出力は,接触力と接触面積の双方に依存する.2019年度は,センサの誘電体の材料特性を設計することにより,接触面積に依存しない出力を得ることを試みた.接触モデルを構築し,誘電体の応力ひずみ特性と統合し,センサモデルを導いた.センサモデルから最適化問題を導き,それを数値的に解くことにより望ましい誘電体の応力ひずみ特性を得た.さらに,センサモデルを解析することにより,応力ひずみ特性の解析解を得た. ソフトロボットの跳躍に関しては,跳躍ロボットの変形形状を対象とした.遺伝アルゴリズムを用いて変形形状の最適化を試み,変形形状と跳躍高さの関係を数値的に解析した.その結果,従来と類似の変形形状とともに,これまでと異なる変形形状を発見した.解析を進めるためには,線状物体と帯状物体の動的な変形のモデリングが必要であることを再認し,混合座標法を用いたモデリング手法を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソフト触覚センシングに関する研究は,順調に推移している.ソフトロボットの跳躍に関する研究は,想定以上の成果を得ている.一方,ソフトハンドによる物体操作に関する研究においては,ソフトハンドの力学モデリングがボトルネックとなり,当初の予定に至っていない.2019年度後半より,ソフトハンドの柔軟指の解析モデルに関する研究を始めており,一定の成果を得ている.柔軟指の解析モデルを用いることにより,ソフトハンドによる物体操作に関する研究が進むと判断している.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,ソフトコンタクトにおける力学の定式化を進めるとともに,ソフト跳躍ロボットやファンクショナルソフトグリッパを用いて実験的な検証を行う. ソフト跳躍ロボットに関して,ロボットのボディと床面との力学的相互作用が跳躍の高さに影響する.そこで,ソフト跳躍ロボットの力学モデルを構築し,モデルを用いた解析やシミュレーションを通して,ソフト跳躍ロボットにおいて,形態が跳躍に与える影響を明らかにする.CADソフトウェアを用いて,ソフト跳躍ロボットのシミュレーションモデルを構築し,MATLAB/Simulinkと連携させ,跳躍のシミュレーションを実行する.跳躍のシミュレーションと大域的最適化手法を組み合わせて,跳躍に適した変形形状を見出すとともに,どのようなソフトコンタクトを生じるかを解析的あるいは数値的に調べ,跳躍における変形形状の貢献を明らかにする.さらに,生物の跳躍を対象として力学的モデリングを進め,新山研究室(東京大学)と協力しつつ,生物の形態と跳躍との関係を調べる. ソフトハンドによる物体操作に関して,新竹研究室(電気通信大学)が研究を進めている分布センサを,ソフトグリッパに埋め込み,ファンクショナルソフトグリッパを構築する.ファンクショナルグリッパで物体を把持・操作するときの分布力を計測し,物体の把持・操作におけるソフトコンタクトを実験的に調べる.柔軟指の解析モデルを用いたシミュレーション結果と実験結果を比較し,解析モデルの妥当性を検証する。 ソフトロボティクスにおける基礎として,線状物体や面状物体のモデリングに関する研究を進める.微分幾何における曲線論や曲面論を援用しつつ,線状物体や面状物体の静的変形ならびに動的変形のモデリング,変形形状の力学的シミュレーションに関する研究を進め,線状物体や面状物体から構成されるソフトロボットの解析を試みる.
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