研究領域 | ゲノム配列を核としたヤポネシア人の起源と成立の解明 |
研究課題/領域番号 |
19H05341
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大橋 順 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (80301141)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヤポネシア / メラネシア / 日本人遺伝構造 |
研究実績の概要 |
最初にアジアに到達したホモ・サピエンス集団(アジア基層集団)から、東アジア人集団の祖先とは独立して分岐したと考えられるメラネシア人(パプアニューギニア・ギデラ族)と縄文人の全ゲノム変異情報をもとに、多数のアジア人集団を含めた集団ゲノム学的解析とコンピュータシミュレーションを行い、アジア基層集団から縄文人・現代日本人に至る日本人集団史モデルの構築を目指す。 石器の出土記録から、日本列島にはおよそ4万年前からヒトが住んでおり、後期旧石器時代を経て縄文人になったと考えられる。縄文人の祖先の起源については南方(東南アジア)起源説と北方(北東アジア)起源説があったが、応募者らによる73のアジア人集団(1808人)を対象に全ゲノムSNPを解析した先行研究(The HUGO Pan-Asian SNP Consortium, Science 2009)により、アジア人の共通祖先は最初に東南アジアに到達し、一部がメラネシア地域に、一部が北上して東アジア地域(そしてアメリカ大陸へ)に進出したことが明らかとなった。しかし、縄文人が現在の東アジア人の祖先とともに北上してきた集団から分岐したのか、それよりも一足早く東アジアに到達した集団の子孫なのかは不明である。パプアニューギニア・ギデラ族の全ゲノムSNPデータを、日本人を含む東アジア人の全ゲノム変異データ用いて主成分分析を行ったところ、縄文人は東アジア人とギデラ族の中間に位置していた。この結果は、4~5万年前にアジア人と分岐してメラネシアに移住した第一の移住者と縄文人は遺伝的なつながりがあった可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メラネシア人のゲノム解析が順調に終了するとともに、1万人の日本人データの解析も進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
・本研究で提案するモデルを実データとコンピュータシミュレーションにより検証するとともに、アジア基層集団と縄文人・メラネシア人集団と東南アジア人・東アジア人集団の分岐時期、東アジア人から日本列島への移住時期(第二段階の渡来)を推定する。 ・メラネシア人にはデニソワ人(もしくはデニソワ人に近いネアンデルタール人)由来ゲノム領域が存在することが知られている。このようなゲノム領域を縄文人(現代日本人)が共有しているかを調べる。
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