2年目である2020年度では、前年度までに準備を進めた2件のシンポジウムおよび1件の研究会を実施した。まず、2020年8月17日・18日に、研究会「遺伝学・言語学・考古学の成果から見る宮古諸島の人の多様性」をオンラインで実施し、遺伝学、言語学、考古学のそれぞれの最新の研究結果を共有し、宮古諸島における人の多様性やその形成過程の解明において、それらの結果をどのように融合させられるかについて議論した。次に、2020年9月19日・20日には、シンポジウム 「係り結びと格の通方言的・通時的研究」(国立国語研究所「日本の消滅危機言語・方言の記録とドキュメンテーションの作成」、科研費19H01255、20K20704との共催)では、係り結びおよび格について、主に文献資料を用いた古典語の研究と、主にフィールド調査によるデータを用いる方言の研究の双方の観点から、日琉諸語に認められるこれらの現象を総合的に検討した。さらに、2020年12月19日・20日には、シンポジウム「日琉諸方言系統論の展望」(国立国語研究所「日本の消滅危機言語・方言の記録とドキュメンテーションの作成」、科研費17H02332、17H06115、18H05510 との共催)を行い、これは、日琉諸語諸方言の系統関係(歴史的派生関係)を反映した下位分類や、日琉分岐前の言語特徴に関わる研究について、問題となる点を共有し議論した。代表者個人の活動としては、係り結びに関係する研究成果、2件の学会発表と1件の論文がある。 コロナ禍の影響による延長期間である2021年度~2022年度には、2020年度に行ったシンポジウム、特に日琉諸語の系統論および個別の言語現象の歴史的研究に関する研究に関する論文を集めた書籍を出版した。また代表者個人として、学会発表(2021年度1件、2022年度1件)や論文の発表を行っている(2022年度1件)。
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