研究領域 | ゲノム配列を核としたヤポネシア人の起源と成立の解明 |
研究課題/領域番号 |
19H05355
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
内藤 健 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 遺伝資源センター, 主任研究員 (20581705)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アズキ / 栽培化 / 起源 / ヤポネシア / ゲノム |
研究実績の概要 |
本研究の目的はアズキの栽培化起源地が日本列島にあるとの仮説をゲノム解析によって検証することである。今年度は、1栽培型アズキ48系統およびヤブツルアズキ(アズキ祖先種)48系統の合計96系統の全ゲノム塩基配列を取得し、韓国の栽培品種がもつ「非裂莢性変異」が、日本のそれとは異なる起源をもつことが示唆された。日本の栽培品種ではMYB26 遺伝子にフレームシフトが生じることで裂莢性を失ったことが明らかなのに対し、韓国品種ではMYB26遺伝子が野生型であるにもかかわらず、裂莢しない。したがって、栽培化にともなって裂莢性を消失した起源が日本型品種と韓国型品種では異なることが示唆される。 また、Bionano Genomicsのオプティカルマッピングとナノポアのロングリードを用いてアズキゲノムのアップデートを行い、11染色体を22のスキャフォールドに収めることができた。ギャップはゼロにはできなかったが、500Mbのゲノムサイズに対して合計ギャップサイズは2Mbと極めて少なくなった。 さらに、染色体相互転座を有するヤブツルアズキ系統群のうち、1系統の全ゲノムをナノポアで解読して転座領域を決定した。これに基づいてPCRマーカーを設計して日本国内における核型の分布を調査した結果、東日本と西日本で核型の分布が明瞭に分かれることが明らかとなった。栽培アズキの核型は転座のない祖先型であるため、アズキの栽培起源が日本列島にあるとすれば、西日本である可能性が高いと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
96系統のリシーケンスを完了しただけでなく、アズキゲノムのアップデートや東日本に分布する祖先種の全ゲノムアセンブルによる転座領域の同定まで実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
さらに100系統のりシーケンスを実施し、栽培家に伴って選択的一掃を受けたゲノム領域を同定し、日本アズキの起源を明らかにすることを目指す。
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