研究領域 | 植物の力学的最適化戦略に基づくサステナブル構造システムの基盤創成 |
研究課題/領域番号 |
19H05373
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研究機関 | 公益財団法人岩手生物工学研究センター |
研究代表者 |
石川 和也 公益財団法人岩手生物工学研究センター, ゲノム育種研究部, 研究員 (40804703)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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キーワード | イネ / 倒伏 |
研究実績の概要 |
日本では台風の影響を受けるため倒伏耐性が重要である。しかしながら、稈の力学的特性や細胞密度、細胞壁構成成分と倒伏耐性との関係性についてはほとんど解析されていないのが現状である。 これまでに、ひとめぼれとC8005の交配集団を用いた解析から、倒伏耐性に関与する3つのQTLを見出している。これらQTLのうち一つはひとめぼれ遺伝子型、二つはC8005遺伝子型の時に倒伏耐性が弱いことが示唆された。これらのQTLが何に起因するか解析するために各遺伝子型の交配集団4系統の稈 (第1-5節間) の断面二次モーメントおよびヤング率、曲げ剛性、稈長、最大点変位、細胞壁構成成分などの測定を行った。系統ごとにばらつきが認められたが、ひとめぼれ遺伝子型で倒伏耐性が弱くなるQTLがC8005遺伝子型になっている交配集団では、ひとめぼれ遺伝子型の交配集団と比較して、第4節間の外径が大きくなり断面二次モーメントがひとめぼれより高い値を示す傾向が認められた。また、第1節間ではたわみに関与すると思われる最大点変位が低い値を示す傾向が認められた。また、C8005遺伝子型で倒伏耐性が弱くなる交配集団に関しては、ひとめぼれ遺伝子型の交配集団と比較して、両方ともヤング率が低い傾向を示した。 数理モデリング解析を行ってもらうために、ひとめぼれとC8005を含めた12のアクセッション (aus、indica、tropical-、temperate-japonicaを各4アクセッション) の稈 (第1-5節間) の外径、断面二次モーメント、ヤング率、曲げ剛性、稈長、最大点変位などの測定を行った。その結果、節間数が多いアクセッションは稈の外径が広い傾向が認められた。また、アクセッションによって第1節間の最大点変位にも大きな差が求められた。現在これらのデータを用いて、形状や硬さなどから倒伏耐性を予測するために共同研究を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでにひとめぼれとC8005の交配集団を用いた解析から、倒伏耐性に関与する3箇所のQTLを得ている。その原因および原因遺伝子を同定するために、各遺伝子型の交配集団の稈の力学的特性を測定した。その結果、そのうちの1箇所のQTL領域を有する交配集団では断面二次モーメントや最大点変位にひとめぼれと違いが認められた。他のQTL領域に関しては、ヤング率に差が認められた。現在、これらの細胞壁構成成分などを測定している。また、稈のRNA-seqも行っており、実験は概ね順調に進展している。 数理モデリング解析を用いて、倒伏耐性に関する植物の力学的最適値および倒伏耐性の数値化を行ってもらっている。そのためのデータとしてひとめぼれとC8005を含めた12のアクセッション (aus、indica、tropical-、temperate-japonicaを各4アクセッション) の稈 (第1-5節間) の外径、断面二次モーメント、ヤング率、曲げ剛性、稈長、最大点変位などの測定を行った。現在これらのデータを用いて、形状や硬さなどから倒伏耐性を予測するために共同研究を行っており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、ひとめぼれとC8005の交配集団を用いた解析から、倒伏耐性に関与する3つのQTLを見出している。昨年度は得られたQTLが何に起因するか解析するために各遺伝子型の交配集団4系統の稈 (第1-5節間) の断面二次モーメントおよびヤング率、曲げ剛性、稈長、最大点変位、細胞壁構成成分などを測定したが、系統ごとにばらつきが認められるものが存在したため、今年度は系統数を増やし (約10系統) 同様の解析を行う予定である。また、その原因遺伝子を同定するために稈のRNA-seqを行なっており、QTL領域内の遺伝子の発現量やスプライシング効率、アミノ酸配列などから候補遺伝子を同定し、CRISPR/Cas9を用いた変異体や過剰発現体を作出し、解析を行う予定である。また、ひとめぼれEMS変異体もtilling法により探索を行う。しかしながら、QTL領域内には倒伏耐性に関与する既知の遺伝子が存在していないことから、候補遺伝子を絞り込めない可能性もある。その場合はファインマッピングを行う必要があるため、交配も行なっていく。 昨年度は、数理モデリング解析を行ってもらうために、ひとめぼれとC8005を含めた12のアクセッション (aus、indica、tropical-、temperate-japonicaを各4アクセッション) の稈 (第1-5節間) の外径、断面二次モーメント、ヤング率、曲げ剛性、稈長、最大点変位などの測定を行った。これらのデータを用いて、形状や硬さなどから倒伏耐性を予測するために引き続き共同研究を行っていく。さらに、今年度は振動実験を行い振動数と倒伏耐性の関係性も明らかにしていく予定である。
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