研究実績の概要 |
機能性ナノマテリアルのメインストリームである半導体・金属ナノ材料の研究対象の一つに, ナノワイヤ構造の構築が挙げられる. 前者は縦型トランジスタの活物質やがんマーカー補足素材など, 後者は14 nmプロセスまでにも微細化された集積回路の配線などへ利用されている. 一次元高分子の単一分子鎖「分子ナノワイヤ」は金属・半導体ナノ材料よりも更に微小, かつ太さや組成が一様な究極のナノ材料となりうる. しかしながら, ポリマー鎖1本1本の単離・観察に課題を残す. 申請者が2015年に開発した配位高分子「ジピリンナノワイヤ」は, 有機溶媒中で超音波処理することでナノワイヤ1本1本を剥離・観察可能な分子ナノワイヤである. 研究期間内には,溶媒分散性を増強するために,側鎖に長鎖アルキル基を導入したπ拡張ジピリンナノワイヤの合成を行った.得られたナノワイヤは良好な分散性と発光性を示した.また,末端をジピリン配位子で終端することで得られるジピリンナノアレイの合成を行った.現状では,GPCを用いることで,9核錯体まで単離できることを見出した.
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