研究領域 | 発動分子科学:エネルギー変換が拓く自律的機能の設計 |
研究課題/領域番号 |
19H05378
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢島 潤一郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00453499)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | モータータンパク質 / キネシン / ミオシン |
研究実績の概要 |
本申請研究では、①リニアモータータンパク質の前後左右方向への運動機構、②リニアモータータンパク質の回転・切断モータータンパク質への改変、③モータータンパク質や細胞骨格からなる高次構造体の形成機構の解明を目指した。本年度は主に、以下の点で進展した。①-1;kinesin-1のモータードメインのN末側領域(カバーストランド)の変異体を用いて、in vitro gliding assayにおいて微小管のコークスクリューピッチを短くする分子機構の存在を明らかにした。①-2;複数のkinesin-6(MKLP1-CYK4複合体)をビーズに固着し、そのビーズの微小管に沿った螺旋運動を3次元空間で定量し、結合タンパク質による回転運動の制御機構を明らかにした。①-3;金ナノロッドをモーターの特定部分に固定し、歩行中のモーターの変位(xyz)と向きθを高い時間分解能で定量し、歩行過程の詳細をモニターし、金ロッドが微小管の長軸に沿って螺旋運動をするとともに金ロッド自体が自転をすることを見出した。 ②;ミオシンミニフィラメント、ヘビメロミオシン、ミオシンS1それぞれがATP濃度依存的にアクチンフィラメントの切断活性を持つことを定量した。 ③-1;ミオシンミニフィラメント、アクチンフィラメント、アクチン結合タンパク質(アニリン)からなる高次構造体をチャンバー内で構築し、その収縮条件を検討し、ATP濃度依存性自発的収縮機構に関する知見を得た。③-2;アニリンとアクチンフィラメントとの相互作用を1分子イメージング及び高速AFMを用いて定量した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で掲げていた3つの達成目標のうち、段階的に成果が得られ、それらの成果を投稿論文で公表したり、または、投稿できる状態となっているため。
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今後の研究の推進方策 |
細胞骨格依存性のリニア分子モーターの前後・左右方向への歩行方向を決定する分子機構を理解し、任意の運動方向や細胞骨格の切断活性を持つ新たなモーターを創製する。このためモータータンパク質の歩行過程の詳細をモニターするため、3次元光ピンセットシステムを確立し、微小管長軸に対し前後・左右方向の破断力の異方性や解離ヘッドの拡散性に依存した運動モデルを検証する。微小管のコークスクリュー運動の回転のピッチ(1回転あたりに長軸方向に進む距離)が短縮したkinesin-14の変異体コンストラクトを手掛かりに、アミノ酸の改変・付加を試み、ピッチが数十nmの新規回転モーターをリニアモーターから作成することを試みる。さらに、複数種のモータータンパク質からなる複合体で回転運動を実現するために、並進運動方向は逆方向であるが、短軸回転方向が同じである複数種のモーターを一つの基盤に固定し、回転運動だけを行うモーター複合体を作成する。計画班と連携し、DNAナノテクノロジーの利用により、より精度の高い複合体回転ーモーターを作成する。さらに、切断活性能を持つリニアモーターであるミオシンヘッドをDNAナノ構造体上に任意に配置させ、細胞骨格フィラメントの切断に適した配置を模索し、効率よく細胞骨格を切断するリニアモーター複合体の作成を行う予定である。
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