研究領域 | 発動分子科学:エネルギー変換が拓く自律的機能の設計 |
研究課題/領域番号 |
19H05388
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鈴木 大介 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (90547019)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ナノゲル / 自己組織化 |
研究実績の概要 |
申請者が検討してきたゲル微粒子のサイズや粒子間相互作用を可逆的に変化させる高分子ナノ粒子(発動ナノゲル)を発展させ、ナノゲル集積体が秩序立った運動を示す人工システムの構築に向けた研究を実施した。 発動ナノゲルを発展させるために、シード沈殿重合を駆使することで、ダブルシェル構造を有する構造化発動ナノゲルを開発した。化学反応に応答して、粒子サイズや粒子間相互作用を変化させることが可能なナノゲルを水系沈殿重合法により作製した。続いて、化学種として、一層目のシェルには温度応答性ポリN-イソプロピルアクリルアミドゲルを、二層目には、オリゴエチレングリコール骨格を有するゲル層を導入し、温度に応じて一層目のシェル層が開閉し、化学反応に対して狙ったときに応答できる新規機能を発現させることに成功した。 続いて、これらナノゲルの特長をより具体的にするために、領域内共同研究を通じ、ナノゲルがタンパク質等の基質を取込み、放出する挙動を捉え、その瞬間のゲル微粒子の構造変化を明らかにする事ができた。単独のゲル微粒子だけでは分散安定性を著しく損なうのに対し、適切なシェル層を導入する事によって、タンパク質等の基質を取込む際に、安定性を損なわないことが分かった。上述した化学反応に応答するナノゲルは、化学反応物質の粒子内外への拡散が重要な機能発現の鍵となるため、今後の粒子設計に重要な知見を得る事ができた。 以上で作製したナノゲルを一次元状に配列させるために、トップダウン法により形成した空間にゲル微粒子を閉じ込め、粒子間架橋を施す事によりナノゲル間を架橋する事に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発動ナノゲルの合成、機能化が順調に進んだため。また、秩序運動の実現に必要と考えている、ナノゲルチェーンの形成にも成功しているため。
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今後の研究の推進方策 |
ダブルシェル構造を有するゲル微粒子は、温度に応じて運動挙動をスイッチする事ができる一方、サイズの変化が劇的に小さくなってしまっている。この点を解消するために、粒子の構造設計(シェル厚の制御)を実施する。秩序運動の実現には、顕微鏡を活用した観察技術・データの解析技術が必要であり、技術を確立しながら、適切なゲル微粒子/集積体を活用する。
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