公募研究
ロドプシンは光エネルギーを吸収し、レチナールの異性化を介して化学エネルギーへと変換する。化学エネルギーは、タンパク質の構造変化として力学エネルギーに変換され、分子機能が発現する。また、ロドプシンは、蛍光を発する特性を有し、光エネルギーにも変換可能である。このように、本領域における『発動分子』の定義(外部エネルギーを別エネルギーへ変えるもの)から、ロドプシンはまさに“発動分子”そのものと言える。このような背景のもと、本研究では、ロドプシンによる『光-->化学・力学・光』エネルギーへの変換機構の理解と光遺伝学的利用を行うことで、ロドプシン型『発動分子』の基礎学理構築を行うことを目的とした。本年度は、以下に示す多様なロドプシンのマルチ『光-->化学・力学・光』発動機構(エネルギー変換)の理解を進めた。さらに、これらを基盤に、分子機能(速度,収率,構造変化,生理応答,発光)の合理的改変の試みと光遺伝学への展開を行った。1)『光-->化学』:多様なロドプシンに対し、“時間”分解測定(過渡吸収,ラマン・赤外)及び“空間”分解測定(ラマン・赤外,X線結晶構造,NMR)を行い異性化速度,量子収率,異性化に伴うレチナール及びタンパク質の構造変化を調べた。得られた定量的な数値とその比較から、『光-->化学』エネルギー変換の理解を進めた。(2)『光-->(化学)-->力学』:レチナールの異性化を引き金するロドプシンの構造変化,他分子との相互作用とその変化を、時空間分解測定により明らかにした。加えて、生化学的・細胞生物学的解析を行い、構造と機能に関わる『化学-->力学』エネルギー変換機構の理解を進めた。(3)『光-->光』:定常蛍光分光法と各種時間分解分光法を組み合わせ、多様なロドプシンの蛍光特性の定量的比較解析と発光機構の解明を行い、『光-->光』エネルギー変換の理解を進めた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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