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2019 年度 実績報告書

分子結晶の発動に基づく新奇固体物性変換機構の開拓

公募研究

研究領域発動分子科学:エネルギー変換が拓く自律的機能の設計
研究課題/領域番号 19H05405
研究機関立教大学

研究代表者

森本 正和  立教大学, 理学部, 教授 (70447126)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード発動分子 / 分子結晶 / 固体物性 / フォトクロミズム
研究実績の概要

本研究では、分子結晶中における発動分子の機械的な動きを利用した新しい固体物性変換機構を開拓することを目的としている。本年度は、光応答性発動分子であるフォトクロミック分子と物性発現分子とを融合した分子結晶を合成することを試みた。
物性発現分子として、分子間プロトン移動に由来する誘電応答を示すカチオン性水素結合一次元鎖に着目した。従来、カチオン性水素結合一次元鎖の対アニオンとしては無機アニオンが導入されていたが、本研究では炭素アニオンを導入することを検討した。水素結合性第三級アンモニウムカチオンを含む塩と、炭素アニオンを含む塩を溶液中で混合すると、第三級アンモニウムカチオンと炭素アニオンからなるイオン性分子結晶が得られた。この結晶についてX線結晶構造解析を行ったところ、第三級アンモニウムカチオンが分子間水素結合により一次元鎖構造を形成し、その近傍で炭素アニオンが積層カラム構造を形成していた。カチオン性水素結合一次元鎖の対アニオンとして炭素アニオンを導入できることが分かった。この結晶の電気物性を測定したところ、カチオン性水素結合一次元鎖におけるプロトン移動に由来すると考えられる電気物性の温度依存性が観測された。このようなイオン性分子結晶に対して光応答性発動分子を導入することを目指して、フォトクロミック反応部位を有する炭素アニオン誘導体を合成した。合成した分子が、溶液中において可逆的な光異性化反応とフォトクロミズムを示すことを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究により、カチオン性水素結合一次元鎖の対アニオンとして炭素アニオンを導入できること、またフォトクロミック反応部位を有する炭素アニオンを合成できることが分かった。このことから、物性発現分子としてカチオン性水素結合一次元鎖、光応答性発動分子としてフォトクロミック炭素アニオンを含む分子結晶を構築するための物質合成の方針が見えてきた。よって、現在までの進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と評価した。

今後の研究の推進方策

カチオン性水素結合一次元鎖の対アニオンとして、フォトクロミック反応部位を有する炭素アニオンを結晶中に導入することを試みる。合成した分子結晶についてX線結晶構造解析を行い、結晶構造を決定する。単結晶試料について電気物性測定を行い、カチオン性水素結合一次元鎖におけるプロトン移動挙動、およびフォトクロミック反応部位の光異性化反応による電気物性変化について検討する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Object transportation system mimicking the cilia of Paramecium aurelia making use of the light-controllable crystal bending behavior of a photochromic diarylethene2019

    • 著者名/発表者名
      Ryo Nishimura, Ayako Fujimoto, Nobuhiro Yasuda, Masakazu Morimoto, Tatsuhiro Nagasaka, Hikaru Sotome, Syoji Ito, Hiroshi Miyasaka, Satoshi Yokojima, Shinichiro Nakamura, Ben L. Feringa, Kingo Uchida
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie International Edition

      巻: 58 ページ: 13308-13312

    • DOI

      10.1002/anie.201907574

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] An all-photonic full color RGB system based on molecular photoswitches2019

    • 著者名/発表者名
      Gaowa Naren, Chien-Wei Hsu, Shiming Li, Masakazu Morimoto, Sicheng Tang, Jordi Hernando, Gonzalo Guirado, Masahiro Irie, Francisco M. Raymo, Henrik Sunden, Joakim Andreasson
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 10 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41467-019-11885-4

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Development of photoresponsive molecular crystals with dynamic switching performance2020

    • 著者名/発表者名
      Masakazu Morimoto
    • 学会等名
      The 1st International Symposium on Molecular Engine
    • 国際学会
  • [学会発表] Turn-on mode photoswitchable fluorescent molecules based on photochromic diarylethenes2019

    • 著者名/発表者名
      Masakazu Morimoto
    • 学会等名
      The 41st PhotonIcs & Electromagnetics Research Symposium
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Turn-on mode photoswitchable fluorescent diarylethenes: Substituent effect on photoswitching performance2019

    • 著者名/発表者名
      Masakazu Morimoto, Ryota Iwai, Shoya Takasu, Masahiro Irie
    • 学会等名
      10th International Symposium on Photochromism
    • 国際学会
  • [備考] 立教大学森本正和研究室ホームページ

    • URL

      https://www2.rikkyo.ac.jp/web/m-morimoto/index.html

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公開日: 2021-01-27  

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