研究領域 | 発動分子科学:エネルギー変換が拓く自律的機能の設計 |
研究課題/領域番号 |
19H05407
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
葛谷 明紀 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (00456154)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | DNAオリガミ / 分子機械 / アゾベンゼン / 高速AFM |
研究実績の概要 |
本研究は、代表者が独自に開発した二状態遷移する世界初のDNAオリガミ分子機械DNA Pliers(Nature Commun., 2011, 2, 449)およびその改良版であるDNA Chopsticksを用いて、熱エネルギーを駆動源として能動的に動作するDNAオリガミアクチュエーターを開発することを目的とする。特にDNA ChopsticksをDNAオリガミアクチュエーターの筐体として使用し、その駆動部として光照射により構造変化するアゾベンゼンを導入したヘアピンDNAを導入することで、熱エネルギー変換の光スイッチングによるDNAオリガミアクチュエーターの超高速開閉動作を実現することをめざす。これまでに、研究で使用するアゾベンゼン分子を導入したDNA Chopsticksの合成と、AFM観察までを達成した。アゾベンゼンユニットの有機合成による自家大量合成と、ステープルDNA鎖への複数組み込み、さらにステープル鎖同士の選択的な連結反応を行う系をそれぞれ確立した。調整したDNA Chopsticksについては、全体構造の確認まで完了しており、その光応答性を今後検証していく。ここまでのプロセスでは特筆すべき程の困難も生じることなく、ほぼ研究計画通りのペースで順調に進行している。二年目に予定していた高速AFMによるリアルタイム単分子解析にも、適切な条件設定と装置のセットアップを経て、問題なく着手できると予想している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、光照射により構造変化するアゾベンゼンユニットの有機合成法を確立し、DNAオリガミアクチュエーターの部材であるステープルDNA鎖に、効率良く複数分子導入することに成功した。合成した修飾ステープルDNAは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製した後に、MALDI-TOF/MSで精密に同定した。さらにこれらのステープル鎖同士を、末端に導入した機能性モノマーを利用して、銅イオンフリークリック反応により選択的に連結し、ヘアピン型のステープル鎖へと変換することにも成功した。また、これらの光応答性ステープル鎖を組み込んだDNAオリガミアクチュエーター(DNA Chopsticks)のAFM観察にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
既に合成した光駆動DNA Chopsticksの高速AFMによる単分子リアルタイム解析を行う。さらにDNA Chopsticks先端へのキネシンモーターヘッドの結合を検討していく。 1.アゾベンゼンヘアピン導入DNA Chopsticksの高速AFMによる単分子リアルタイム解析 LED光源からのUVおよび可視光を高速AFMのサンプル部に導光し、マイカ基板上でのDNA Chopsticksの光スイッチング、およびその単分子リアルタイムイメージングを試みる。 2.DNA Chopsticks先端へのキネシンモーターヘッドの結合 初年度に構築したレバー部先端にストレプトアビジンが修飾されたDNA Chopsticksのさらに先に、ビオチン修飾したキネシンモーターヘッドを結合することを試みる。狙い通りのハイブリッド化が達成され次第、順次微小管結合能の確認等、DNA/タンパクハイブリッド分子モーターの運動性の解析に着手する。
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