A)ex vivoおよびin vivoでシンギュラリティ現象が認められるか? 宿主細胞一つあたり20個以上のウイルス粒子が暴露されるとウイルス感染が爆発的に広がる現象がin vitroで示されている。この現象がex viv oおよびin vivoでも認められるか検証するために、シンギュラリティ細胞を同定するためのレポーターアッセイ系を構築した。これはウイルスのRNAポリメラーゼ依存的に蛍光タンパク質の発現が誘導する系であり、in vitro、ex vivo、in vivoを問わずシンギュラリティ細胞の同定が可能にとなる。B)シンギュラリティ細胞を規定するメカニズムは何か? 我々はこれまでに、Ca2+チャネルがインフルエンザウイルス感染の鍵となることを報告している。また、一部の細胞株においては、どんなに高力価のウイルスを暴露しても、感染効率は60~70%程度にとどまることを見出している。すなわち、細胞種依存的にウイルス感染のheterogeneityが存在する。興味深いことに、Ca2+チャネルがこのheterogeneityの規定因子であることを示唆する予備的データが得られている(論文投稿準備中)。そこで、オプトジェネティクスを用いてCa2+チャネル発現量を厳密にコントロールする手法を開発した。これを用いて、インフルエンザウイルス粒子数とCa2+チャネル発現量との関係を明らかにする。また、シグナル伝達因子を細胞内の任意の小器官へと局在化させる光遺伝学手法も樹立した。これを用いてシンギュラリティ現象と細胞内シグナルの時空間的制御との関係性も明らかにする。
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