運動異常や自律神経障害を来すパーキンソン病(PD)では、患者のうち30%程度において認知症の症状がみられる。この認知症併発のPD 患者の病理では、アミロイド沈着による老人斑やリン酸化Tau による神経原線維変化が散見される。遺伝性PD原因遺伝子のひとつであるLeucine-Rich Repeat Kinase 2(LRRK2)の遺伝子変異では、認知症を併発するPD 患者が多い傾向にあり、認知症の発症にも何らかの影響を及ぼすことが考えられる。本研究では、in vitro解析を軸とし、遺伝性PD患者iPS細胞由来神経細胞における変異LRRK2遺伝子のモザイシズム発現について検証した。その結果、一部のiPSC由来神経細胞集団において、変異LRRK2遺伝子の発現がモザイシズムを呈している現象を見出した。また、I2020T LRRK2-iPSC由来神経細胞では、ゲノム編集技術で遺伝子修復したisogenic-iPSC由来神経細胞に比べ、4R-Tauの増加傾向がみられた。さらに、エクソソーム内におけるTauおよびリン酸化Tauを確認した。
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