研究領域 | トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築―多文化をつなぐ顔と身体表現 |
研究課題/領域番号 |
20H04576
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯高 哲也 名古屋大学, 脳とこころの研究センター(医), 教授 (70324366)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | expression / face / imitation / amygdala / fMRI |
研究実績の概要 |
本研究では表情認知とその模倣の脳内機構について、てんかん患者の脳外科手術前に脳内に埋め込んだ電極を用いて扁桃体の電気的活動を計測した。また並行して健常被験者を対象として、同一課題を用いたfMRI実験を行い脳内電極脳波の結果と比較した。研究仮説としては、表情認知はもとより模倣時にも扁桃体の活動が亢進すると予想した。 課題は固視点の後に、表情変化を伴う男または女の動画が2.5秒間呈示された(Movie課題)。その後でシルエットが4秒間呈示され、被験者は直前の表情と同じ表情を模倣した(Imitate課題)。一連の試行を40回ランダムに呈示したものを1セッションとして3回繰り返した。 てんかん患者3名から得られたデータについて、EEGLABを用いて時間周波数解析を行った。Movie課題では、右扁桃体における中期時間帯(200ms)の低周波数帯域(10Hz)で活動亢進を認めた。Imitate課題では、後期時間帯(500ms)の高周波数帯域(100Hz)で扁桃体の活動が亢進していた。 fMRI実験は18名の健常被験者を用いて、3Tesla MRI装置とマルチバンド撮像法(TR=1s)により脳活動を計測した。SPM12によるグループ解析の結果では、Movie 課題において扁桃体領域の賦活が認められた。Imitate課題においても、同様に扁桃体の賦活が認められた。 脳内電極脳波およびfMRI実験のいずれでも、顔刺激が呈示されなくても表情模倣時に扁桃体の活動が亢進することが明らかになった。顔面の表情筋には、骨格筋のような筋収縮を感知する受容器がないとされている。従って模倣課題中の扁桃体活動は、顔面の皮膚にある受容器を介したフィードバックにより生じた可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
fMRI実験については18名の被験者からデータを取得し、グループ解析の結果で有意な所見が得られている。一方で脳内電極脳波の実験に関しては、被験者数が少なく統計的に十分な結果が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は脳内電極脳波実験の被験者数を増やすことを目標として研究を継続する。最終的には10名程度まで増やすことを目指す。
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