研究領域 | トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築―多文化をつなぐ顔と身体表現 |
研究課題/領域番号 |
20H04581
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山田 祐樹 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (60637700)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 文化差 / 身体化認知 / 日常経験 / 重量感覚 |
研究実績の概要 |
本年度は日本国内と中国において同時にフィールド実験を行う予定であった。中国では広西省のチワン族やヤオ族の人々を対象に,上下メタファーに関する身体化認知実験を行った。結果として,2つの少数民族では異なるパターンを示し,ヤオ族では上下メタファーの効果が見られないことが明らかになった。このことはヤオ族の民俗学的特徴やあるいは生活環境等に上下メタファーの効果に影響する要因が存在することを示唆しており,実験室実験のための仮説生成にはそれらの点を精査することが有効だと考えられる。 さらに現在,雲南省の大学にて一時的な運動経験がメタファー効果に影響するかを検討する実験を実施しているところである。この実験は本年度中に完了しなかったため,来年度も継続していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は中国のハニ族やタイ族からもデータを取ることを予定していたが,コロナ禍でそもそも移動が困難であったためそれが叶わなかった。その他,国内でのフィールド実験や実験室における対面実験も同様の理由で実施自体が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
第一に,本研究のメイン課題における学術誌での出版が満足にできなかった。そもそも本研究はまだ探索段階であり,様々な仮説を生成するための調査や実験を行う必要がある。現在実験中のものがあるためまずはそれに全力を尽くしたい。具体的には雲南省にて上下メタファー実験を一時的な運動経験に着目して行っているが,これを最優先で完了させる。 さらに,国内の高山帯で行う予定の身体化認知実験も未だ着手できていない。コロナ禍の深刻な影響を受けているさなかではあるが,まずは国内のいくつかの山頂付近の環境を調査しに行く必要がある。 このように,本研究はフィールド実験が可能か否かにその進展の大きな部分が依っているため,限られたチャンスを活かして可能な限り進展させたい。
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