研究領域 | トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築―多文化をつなぐ顔と身体表現 |
研究課題/領域番号 |
20H04586
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大須 理英子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60374112)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 身体性 / 同時計測 |
研究実績の概要 |
【fNIRSによる評価法の確立】 対人インタラクション場面での二者間の脳活動を同時計測する(hyper scanning)手段としては、脳波、fNIRSがあげられるが、脳波は環境からの電気的ノイズや、眼球運動、筋電図などの生体信号からのノイズの影響を受けやすく、フィールドでの実験には向かない。そこで、本研究課題では、fNIRSでのhyper scanningを試みることを目的とした。これまでのfNIRSでのhyper scanningはゲーム課題など認知的インタラクションが多く、身体インタラクション課題の例は少なないため、実験課題も含めて検討する必要がある。今回は、静止立位時の姿勢制御課題を対象とし、fNIRSと身体動作の同時計測をするシステムを構築した。インタラクションに関係が深い脳部位と考えられる前頭前野と側頭頭頂接合部を中心にしたチャンネル配置で同時計測を実施した。 【加速度計と映像によるダイナミクス評価】 静止立位時の姿勢動揺における二者間の身体協調ダイナミクスについて、その文化差を検討するためには、同様の課題をフィールドにおいても実施することが望ましい。しかし、現行の手法では、フォースプレートによる足圧中心と三次元位置計測装置による位置データが必要であり、いずれの装置も据え置き型であり、フィールドでの実験が困難である。そこで、本課題では、加速度計とビデオ映像を利用して身体協調ダイナミクスを推定する方法を検討する。今回は、映像からAI技術を用いて、身体動揺の同期度合いを検出し、二者間の距離や、向き合っているのか背中をむけているのかといった条件による同期の特徴の違いを評価した。それらの特徴が、三次元位置計測装置やフォースプレートで評価したものと近似していることを検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID19により当初目的としていた海外でのフィールド実験は実現が難しい状況であるが、計測技術や解析手法の検証や、国内での実験については、繰り越しによる実施により、比較的順調に進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
COVID19のため、海外でのフィールド実験は困難である。また、国内においても、フィールド実験ではなく、入念な感染対策を行った上で、実験室において実験を実施する予定である。実験環境が限られ、実験パラメータとして文化的な多様性を担保することが困難であるため、関係性の指標や社会性の特徴などをパラメータとする方向性についても検討する。
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