研究領域 | トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築―多文化をつなぐ顔と身体表現 |
研究課題/領域番号 |
20H04588
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
牧野 遼作 広島工業大学, 情報学部, 助教 (10780637)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 相互行為分析 / 障害とコミュニケーション |
研究実績の概要 |
2020年度の分析としては,これまで収録してきた家庭内の相互行為場面の分析を進めた.特に「手合わせ」と呼びうる独自の遊戯的相互行為場面の検討を行い,後者について「日本認知科学会第37回大会」で発表を行った.さらに,家族内だけではなく収録者も参与した手遊び場面についての検討を行い,相互行為構造の独自性の維持と変容の仕方を示した.この成果については,2021年度刊行予定の書籍にて発表を行う.また食事場面における家族介助についての検討をすすめ,重複障害者の参加者は,一方的に介助を受けているのではなく,自分の姿勢や視線といったキューを用いて,適切な食事を進めるタイミングを介助者に伝え,かつ介助者もそのキューを理解し,食事活動を進めていることを明らかにした.このことは,彼らがその場における間主観性を身体的なやり取りを通して構築していることを示すものである.この成果について,論文執筆作業を実施し,2021年度に投稿を実施する予定である.また顔身体学の領域会議にて,上記の進捗について報告を行い,またリハビリ場面という異なる身体を持った人々の間の相互行為の分析について,領域企画のシンポジウムにて招待公演を行った. データの収録としては,大学の異動及びコロナの影響を受け,計画を大幅に変更した.2月と3月に収録・フィールドワークをまとめて実施した.家庭内場面の収録を3回実施した.また家庭外場面の収録としては,当初予定していたワークショップ場面はコロナ禍の影響で不可能となった.それ以外の家庭外場面として,自閉症スペクトラムやダウン症といった発達障害児が通うトランポリン教室のフィールドワーク及びデータの収録を実施し,4回分の場面の収録を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
データの分析及び成果報告については,2021年度に2本の公開が予定されており,計画予定よりもはやく進行していると評価できる.データ収録についてもコロナの影響を受けつつも,後半にて家庭内データの収録を再開し,可能な範囲での収録を実施した.また家庭外場面についても,新たなフィールドワーク先と連携することで,適切なデータの収録を進めることができた.
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今後の研究の推進方策 |
(1)家庭内場面については,引き続き協力者と連携しデータの収録を続ける.加えて,これまで着目してこなかった相互行為の分析に着手し,学会発表を成果を発表することを目標とする. (2)家庭外場面については,引き続きトランポリン教室と連携し,データの収録を続ける.収録時に実施したアンケートデータなどについて,学会報告を行いつつ,ビデオを用いた相互行為分析の可能性について模索する.
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