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2020 年度 実績報告書

表情・身体動作の理解と一人称報告の信頼性に関する哲学的・経験科学的研究

公募研究

研究領域トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築―多文化をつなぐ顔と身体表現
研究課題/領域番号 20H04591
研究機関中京大学

研究代表者

長滝 祥司  中京大学, 国際学部, 教授 (40288436)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード表情 / 身体動作 / 観相学 / 観情学 / 一人称的報告
研究実績の概要

われわれは、他人の表情や身体動作からその人の心的状態を直観的に理解したり、性格傾向などを把握したりすることがある。こうした素朴心理学的能力を解明し精緻化しようとする学問上の関心も、科学革命の時代の観相学や感情学から、19 世紀の骨相学やダーウィン進化論を経て20世紀の精神分析、一部の感情心理学へと続いている。これらの学問で使われていたのは、基本的には日常の人間観察と当人の内観による一人称的報告である。
当該年度は、文献研究とひとを対象とした実験研究を行う計画であった。コロナ禍のため、後者については実施できなかった。文献研究ついては、16-18 世紀にかけての観相学や表情学の文献と、それらを研究した二次文献を収集し精査する。一次文献の代表的なものは、de LaChambre, M. C. (1660)、Lavater, J. C. (1775-8)、Lichtenberg, G. C. (1778)、Charles R. Darwin. (1872)などである。偽アリストテレスのPhysiognomonicaも観相学の淵源として参照し、デカルト『情念論』や『屈折光学』、カント『人間学』、シェーラー『感情の本質と形式』、メルロ=ポンティ『眼と精神』なども適宜参照する。読解の方法論としては、顔や身体の形態に関する静態的な記述、探求である観相学から、それらの動きつまり表情や身体動作から人間の心的状態や性格などを記述するような動きに注目していくようになったのはなぜか、という点にまず着目する。もっとも問題にすべきは、動きに注目することと、ラーファターの客観主義批判がどのように結びつくのかである。以上については、今年度6月に刊行予定の『メディアとしての身体』(東京大学出版会)の第7章として公表する。実験研究については、同著補章において、その構想を展開している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ状況下で、ひとを対象とする実験については、当初のプランでは実施ができなかった。オンラインを用いた代用的な実験を行ったが、満足のいく結果は得られていない。想定していた実験プランからは乖離したためである。得られたデータについての検討は行っており、それによって、今後の対面実験とそれを補完するオンライン実験の練り直しのための基礎固めはできている。
文献研究については、当初予定を達成することができた。当初予定の実験の一部の結果と、文献研究は、2022年6月刊行予定の著作の6章と補章で公表することとなっている。

今後の研究の推進方策

コロナウィルスの感染状況をにらみつつ、対面でのひとを対象とする実験の実施にむけて調整を行う。すでに得られているオンライン実験の実施状況、得られた結果にもとづいて実験プランの練り直しを行う。もしコロナ状況によって対面実験の実施が困難と判断されたばあいは、オンラインでの実験プランをさらに洗練させるようは方法を考案する予定である。
文献研究については、心の科学の方法論の検討と、今年度6月に刊行予定の『メディアとしての身体』(東京大学出版会)の第7章の研究をさらに展開させた研究を『「情動」論への招待』第4章として公刊する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 身体性をめぐる哲学と認知科学2023

    • 著者名/発表者名
      長滝祥司
    • 学会等名
      第9回顔・身体学領域会議
  • [学会発表] 表情・身体動作の理解と一人称報告の信頼性に関する哲学的・経験科学的研究2022

    • 著者名/発表者名
      長滝祥司
    • 学会等名
      第8回顔・身体学領域会議
  • [図書] メディアとしての身体2022

    • 著者名/発表者名
      長滝祥司
    • 総ページ数
      243
    • 出版者
      東京大学出版会

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公開日: 2022-12-28  

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