公募研究
2021年6月より、リュウグウの初期分析が始まった。研究代表者は初期分析化学班の副リーダーとして、リュウグウ試料および炭素質コンドライトの化学分析および同位体分析を実施した。初期分析化学チームにはリュウグウの集合体試料、約30mgが2点が配分された。これら試料について、XRF分析を行って主成分組成を決定した後、酸で分解し、四重極型ICP-MS(X-series2)を用いて54種類の元素存在度を測定した。その結果、リュウグウはCIコンドライトと似た化学組成を持つことが分かった。更に、東工大に設置した専用のクリーンベンチで、溶解したリュウグウ試料から約20種類の元素を分離抽出した。その際、研究代表者が開発したマルチ元素分離技術を適用した。分離した元素のうち、Crについては東工大の表面電離型質量分析計を用いて精密同位体測定をおこなった。また、Ti同位体の分析を東大のマルチコレクター型ICP質量分析計を用いて行った。その結果、リュウグウのCr-Ti同位体組成はCIコンドライトに近い値となり、XRFやICP-MSを用いて得られた化学組成と矛盾しない結果となった。2022年2月に導入されたトリプル四重極型ICP-MS(iCAP-TQ)を用いて、隕石試料ならびにリュウグウの元素存在度分析の開発を開始した。特に、消滅核種53Mnを用いた53Mn-53Cr年代測定法において必要となる55Mn/52Cr比を精密に測定する手法の開発を行った。様々な測定モードを試した結果、ガス反応セルを用いないSQ-non gas modeでは分子イオンの干渉により、正しい結果が得られないことが判明した。一方、Heガスを用いたKEDモードで干渉分子イオンを軽減させると、最も高精度・高確度なMn/Cr比を与えることが分かった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Geostandards and Geoanalytical Research
巻: 46 ページ: 205~222
10.1111/ggr.12426
Geochimica et Cosmochimica Acta
巻: 319 ページ: 254~270
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