現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(i)電気回路における表皮効果の解析では、鏡映対称性に保護された非エルミート・トポロジーが新しい表皮効果を引き起こすことを明らかにした。また、電子回路での実装にむけた議論を行った。具体的には該当する系がアンプを用いることで実現可能であることを明らかにし、電圧のノード依存性を測定することでミラー表皮効果の観測が可能であることを提案した [T. Yoshida et al., PRR (2020)]。 (ii)開放量子系における非エルミート・トポロジーでは擬スピンチャーン数という新しいトポロジカル不変量を導入した。このトポロジカル不変量をもとに二体ロスのある系では、量子ジャンプがあってもトポロジカルな構造は保たれることを明らかにした[T. Yoshida et al., PRR (2020)]。同様のアプローチで一次元の対称性に保護された非エルミート・トポロジカル相が特徴づけ可能であることを明らかにした。 (iii)平衡強相関系における例外点の研究では、一粒子励起スペクトルで発現する例外点のトポロジーを解析し、その分類表を構築した[T. Yoshida et al., PTEP (2020)]。また、スピン励起などの二粒子グリーン関数においては対称性による拘束条件が一粒子励起スペクトルのものと異なるため、例外点のトポロジーも変化することを明らかにした[R. Rausch et al., New. J Phys. (2021)]。 以上の成果は計画の当初におおむね予想できたものであるが、それにくわえて(iv)トポロジカル熱メタマテリアルという新しいトポロジカル物理の舞台を開拓した。さらに本年度には、招待論文を上梓することができた。これらの理由から当初想定していた以上の成果が得られたと考えている。
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