研究実績の概要 |
ゴム(エラストマー)材料ほど、力をかけると数倍伸びて、元に戻る材料はない。ゴム材料が示すこのような特異な変形特性は、1. 内部に存在している高分子鎖がゴム(液体)状態で高い運動性を有していることと 2. それらの高分子鎖が架橋点でつながれてネットワーク構造を有することで達成される。このネットワーク構造の一つの要素である架橋点は、一般的には化学架橋点と物理架橋点に大別され、通常一方の架橋点が含まれている。これに対して、ポリウレタンエラストマー(PUE)は、化学架橋点と物理架橋点の両方を併せ持つことが可能な材料である。また、PUEはゴム材料の中でも高い破断強度を示すことが知られており、二種類のネットワーク構造の存在と関連している可能性があるが、詳細は明らかにされていない。 物理架橋および化学架橋を併せ持つポリウレタンエラストマー(PUE)をポリオキシテトラメチレングリコール、脂環族ジイソシアネートおよび1,4ブタンジオール、1,1,1-トリメチロールプロパンを用いて合成した。得られたPUEについて、一軸および二軸伸長過程におけるミクロ相分離構造変化を、その場小角および広角X線散乱(SAXSおよびWAXS)測定に基づき評価した。 化学架橋および物理架橋を含有するPUEの場合、物理架橋のみのPUEと比較して、破断ひずみが小さく、ミクロ相分離構造変化も小さいことがSAXS測定より明らかとなった。また、前者のPUEの破断強度はやや低下した。適切な化学架橋密度を導入することで、より強靭な物性を付与できる可能性があることが示された。
|