研究領域 | 次世代物質探索のための離散幾何学 |
研究課題/領域番号 |
20H04642
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小磯 深幸 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (10178189)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 変分問題 / ウルフ図形 / 非等方的エネルギー / エネルギー極小解 / 自由境界問題 / 平均曲率 / 平均曲率一定曲面 / 平均曲率一定螺旋面 |
研究実績の概要 |
曲面の非等方的エネルギーの変分問題は、エネルギー密度関数の適切な選択により、液体・方向性のある液晶・結晶(固体)の最適形状を求めるという課題を与える。さらに、ローレンツ・ミンコフスキー空間内の計量が正定値とは限らない平均曲率一定(以下ではCMCと略記)超曲面もまた、この種の変分問題の解の例と見做せる。従って、このような一般的な変分問題の解として、滑らかな曲面・カドのある曲面・多面体が現れる。また、解は一般には特異点を持ち、それは頂点・辺やその高次元版、因果型(causal character)が変化する点などである。これらの曲面を統一的に扱うことにより、滑らかな微分幾何学や楕円型作用素が支配的な曲面の研究では扱わなかった曲面の解析を行うことになる。これらに関して以下の研究成果を得た。 非等方的エネルギー密度関数が2階連続的微分可能で凸性を持つ場合について、(n+1)次元ユークリッド空間の楔状閉領域あるいは錐状閉領域における超曲面についての自由境界問題のエネルギー極小解の一意性定理を得た。 (n+1)次元ローレンツ・ミンコフスキー空間内の空間的グラフ及び時間的グラフの平均曲率に対するHeinz型評価を統一的に得た。そして、それらを応用することにより、全超平面上で定義された関数のグラフとなっている空間的CMC超曲面及び時間的CMC超曲面が超平面となるための、グラフを定義する関数に対する十分条件を得た(川上裕氏(金沢大),本田淳史氏(横浜国立大),通峻祐氏(輪島高)との共同研究)。 螺旋状の小さいステンレス針金が支える微小液滴の実験観察結果の数学的理解を目指して螺旋運動で不変なCMC曲面(CMC螺旋面)の安定性について研究し、畠山優太氏(NEC)との共同研究により、一つの常螺旋と二つの短い曲線弧で張られる凸で安定なCMC螺旋面のクラスを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染拡大のために出張を控えているため、他分野の研究者との密な研究討議を行うのに困難があるが、個人研究並びに数学者との活発な協働はできており研究成果の出版状況も順調である。なお、新型コロナウイルス感染拡大により研究集会の開催数が減っていることを踏まえ、出版する論文は可能な限りオープンアクセスとしている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の研究を行う。 (1)エネルギー汎関数についての凸性の仮定を緩め、特異性がより強い曲面のクラスにおいて変分法を展開する。 (2) これらの研究成果を物質・材料科学など多分野の研究者と共有し、応用する。 以上の研究成果については、国内外で口頭発表を行うと共に、英語による論文にまとめて国際的に評価の高い学術雑誌に投稿する。また、新型コロナウイルスへの感染状況に応じた形態となるが、研究集会を開催し、共同研究、資料収集、若手研究者への情報提供を行う。
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