研究領域 | 次世代物質探索のための離散幾何学 |
研究課題/領域番号 |
20H04644
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
天本 義史 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (70773159)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 結晶性高分子 / マテリアルズインフォマティクス / 構造物性相関 |
研究実績の概要 |
本研究では、情報科学の手法に基づく高分子材料の階層構造を反映した構造-物性相関の構築を提案した。本年度は、結晶性高分子の結晶構造を反映した階層的な機械学習モデルを検討した。結晶性高分子として脂肪族ポリエステルを用い、融点以上で融解し、所定の結晶化条件(結晶化温度・結晶化時間)で等温結晶化させる事で、様々な結晶構造を有するフィルムを調製した。放射光を用いた広角X線回折(WAXD)・小角X線散乱(SAXS)測定により、それぞれ結晶格子とラメラ間距離に関する情報を含む画像データを取得した。主成分分析を用いて、画像データの次元圧縮を行い、WAXD・SAXS像に対してそれぞれ3次元、計6次元の値を高次構造特徴量とした。その後、入力として化学構造・結晶化条件、中間層として高次構造特徴量、出力としてヤング率を用いて、スパースモデリングを用いて階層的な構造物性相関を構築した。スパースモデリングの正則化項の大きさを変える事で、重要な高次構造特徴量を取得した。重要とされた高次構造特徴量のみを用いて、主成分分析による画像復元を行ったところ、X線の回折や散乱ピークを反映した画像が得られた。さらに、この階層的な機械学習モデルに適切な化学構造と結晶条件を入力すると、WAXD・SAXS像の復元と物性の予想が可能になった。このような階層的な構造物性相関を構築する事で、重要な結晶構造を理解しながら、物性を予測し、材料の探索ができるようになると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験データの取得と階層的な機械学習モデルの構築まで行なっており、当初の計画通りに研究が進行している。
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今後の研究の推進方策 |
高次構造の評価法として、当初計画したX線のみならず、分光や偏光顕微鏡観察像、誘電緩和などの測定を行なっていく予定である。また、機械学習の手法のみならず、物理量も取り入れる事で、様々な情報を反映した階層的な構造物性相関を構築する。
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