公募研究
本研究は、組織透明化技術を用いて、夾雑なヒト脳のシステムを、従来の2次元平面画像ではなく、立体のまま全てを観察する3次元イメージングにより紐解くためのケミカルプローブの開発を目的とする。これまでに、ヒト脳を高度に透明化するための透明化プロトコールの開発に取り組んだ結果、1.組織の内在的因子を保存したままの高度な脱脂手法、2.透明化時に生じる組織の褐変およびリポフスチンなどの強度な自家蛍光の効率的な抑制手法を開発することに成功した。本研究では、以下の項目に関する研究開発を実施する。(1) 大型組織に適用可能な完成版透明化プロトコールの開発:これまでに開発された屈折率調整液の課題を克服することで組織透明化技術を完成させると共に、組織透明化における根本的な化学的原理を明らかにする。(2) 組織化学反応との組み合わせによる包括的染色スクリーニング系の開発:これまでに自家蛍光の抑制を目的として発見に至った化学処理は、自家蛍光の抑制のみならず、それぞれのケミカルプローブの染色性に変化がもたらされることを明らかにした。組織に対する化学修飾の違いにより、異なる染色性が発揮されることを活用し、種々の組織化学反応とケミカルプローブの組み合わせに基づく包括的染色スクリーニング系を構築する。この新規戦略により、緻密な分子デザインによるケミカルプローブの開発とは真逆のハイスループット機能性プローブ探索戦略を開拓する。本年度は、透明化条件において特異的な染色パターンを示す蛍光プローブの染色プロファイリングを実施した。屈折率調整による染色色素の解離を防止するために、染色後にホルマリンによる追加固定が可能な蛍光色素のスクリーニングを行った結果、神経細胞の胞体や残留血液成分、軸索、老人斑などに特異的なケミカルプローブの探索に成功した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)
Nat Commun.
巻: 13 ページ: 943
10.1038/s41467-022-28568-2.
Int Immunol.
巻: 33 ページ: 587-594
10.1093/intimm/dxab060.
Cell Rep.
巻: 36 ページ: 109380
10.1016/j.celrep.2021.109380.