研究領域 | 分子夾雑の生命化学 |
研究課題/領域番号 |
20H04713
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
武森 信暁 愛媛大学, 学術支援センター, 講師 (40533047)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | プロテオフォーム / 質量分析 / トップダウンプロテオミクス |
研究実績の概要 |
細胞内では1つの遺伝子から選択的スプライシング・遺伝的変異・翻訳後修飾などの生物学的プロセスにより様々な形態のタンパク質分子(プロテオフォーム)が生み出される。プロテオフォームの存在は、タンパク質の相互作用ネットワークや細胞内局在を多様なものとしており、生理機能を拡張することに貢献している。ヒトゲノム解析によりタンパク質をコードする遺伝子は約2万種類存在することが明らかとなっているが、生体内におけるプロテオフォームの正確な全体像は未だ解明されていない。そこで本研究ではプロテオフォームを高感度に解析するための新しい質量分析技術を開発し、生体内の分子夾雑環境におけるプロテオフォーム動態を理解するための計測基盤を構築することを目的とする。前回の公募研究では、米国国立高磁場研究所との共同研究により高分解能プロテオフォーム分画とトップダウン質量分析によるインタクトタンパク質の配列解読を組み合わせたプロテオフォームの大規模解析法(PEPPI-MS)の開発に成功している。今年度は開発したPEPPI-MSを活用しプロテオフォーム動態の高感度定量解析システムの構築を進めている。またPEPPI-MSでは困難な高分子量領域のプロテオフォーム計測を目的として、今年度はN,N'-bis(acryloyl)cystamine (BAC)を架橋剤として調製した可溶性ポリアクリルアミドゲルとボトムアップ・ミドルダウン質量分析を組み合わせた新規プロテオフォーム解析ワークフロー(BAC-DROP)の開発をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PEPPI-MSを用いた定量プロテオフォーム解析のための内部標準の合成、サンプル前処理法の検討は予定通り終了しており、ボトムアップ・ミドルダウン質量分析によるプロテオフォーム計測のための要素技術の開発にも成功していることから、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
構築した定量解析システムを活用して、生体の分子夾雑環境におけるプロテオフォーム動態の定量解析をおこなう。またBAC-DROPワークフローを活用し、現状のトップダウン質量分析では困難な60 kDa以上の高分子量領域におけるプロテオフォームの大規模解析に挑戦する。
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