現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
私たちはこれまで、シナプスの形成および機能の人為的制御をめざした光・化学遺伝学的技術の開発を進めてきた。とりわけ、記憶・学習の分子基盤とされるシナプス可塑性 (シナプス伝達効率の可逆的変化) を光で制御しうる新しい光遺伝学技術を駆使し、シナプス可塑性が個体行動に直接的に関与していることを世界に先駆けて明らかにした (未発表データ;Kakegawa et al., Neuron '18)。また私たちは、合成化合物によって選択的に活性化されるリガンド作動性受容体を設計し、この系が急性脳スライスで機能することを見出した (未発表データ)。 さらに私たちは最近、独自に同定した内在性シナプス形成分子Cbln1の構造 (Elegheert, Kakegawa et al., Science '16) をもとに設計した人工シナプスコネクター (CPTX) を作出することに成功した。驚くべきことに、CPTXをシナプス形成・機能不全を呈する各種疾患モデルマウスに局所投与すると、その機能が著しく改善された (Suzuki et al., Science '20)。以上の実験結果は、次年度以降の研究計画を展開する上で、重要な情報として評価しうる。
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