研究領域 | 重力波物理学・天文学:創世記 |
研究課題/領域番号 |
20H04736
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松林 和也 京都大学, 理学研究科, 特定助教 (60622454)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 重力波 / 可視光 / せいめい望遠鏡 |
研究実績の概要 |
重力波源天体の可視光対応天体を見つけるための、可視3色高速撮像分光装置TriCCSを開発している。2020年度は、長波長で量子効率の高いCMOSセンサーを購入した。CMOS単体での動作試験を行い、読み出しノイズが十分に低いこと、最速で毎秒98フレームでの画像取得ができることを確認できた。その他の性能も予定通りの性能であった。 購入したCMOSセンサーをTriCCSに接続し、2021年2月と3月にTriCCSをせいめい望遠鏡に接続して試験観測を行った。結果は良好であった。今回購入したCMOSセンサーだけでなく、他2台のCMOSセンサーでも同時に良い星像が得られた。本CMOSセンサーが接続されている、i-band (波長690-815 nm) での限界等級は5分間の積分時間で約21.5等級と、ほぼ予想通りの性能であった。せいめい望遠鏡の口径を生かして、暗い天体まで検出可能であることが確認できた。またTriCCSの各種性能の測定を行った。主な性能をまとめると、ピクセルスケールが0.350秒角/ピクセル、視野が12.6×7.5分角、g-band (波長400-550 nm) とr-band (波長550-690 nm) の5分積分での限界等級が約21.5等級である。 TriCCSの撮像モード (ただしデータレートは1 fps以下) をせいめい望遠鏡の共同利用時間に観測できるようにするために、TriCCSの試験観測レポートをせいめい小委員会へ提出し、審査を受けた。審査結果は合格で、TriCCSの撮像モードは2021年8月からせいめい望遠鏡の第2の共同利用装置として公開されることが決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初の計画では、2020年度にCMOSセンサー購入してTriCCSに導入し、せいめい望遠鏡に接続して観測できるようにする予定であった。2020年度の実績は、長波長で量子効率の高いCMOSセンサーを購入し、予定通りの性能が得られることを確認できた。CMOSセンサーをTriCCSに接続して試験観測を行い、撮像モードが使用可能であることを確認した。せいめい小委員会の審査を経て、2021年8月からTriCCSが共同利用装置として公開されることが決定した。 以上より、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の前半は、観測の効率を上げるため、購入したCMOSセンサーの調整と試験を行う。観測を効率的に進めるためのユーザーインターフェースを進める。また観測データを解析するソフトウェアを開発し、観測後に天体の明るさなどを素早く測定できるような体制を作る。 2021年度の後半から、せいめい望遠鏡に接続したTriCCSを使って、重力波源天体の電磁波対応天体などのフォローアップ観測を行う。日本の重力波源電磁波対応天体フォローアップ観測グループJ-GEMのメンバーと協力し、TriCCSを使って重力波源候補天体を観測する。新型コロナウイルスの影響などで重力波望遠鏡が稼働しない場合は、重力波源天体と関連があると考えられている天体の観測を行い、それらの正体を明らかにする。具体的な観測内容は、超新星爆発の継続的測光観測、ガンマ線バーストの即時フォローアップ観測、超高エネルギーニュートリノ対応天体のフォローアップ観測などを計画している。 。
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