本研究の目的は、重力波源の電磁波対応天体の可視光撮像フォローアップ観測により、突発天体を探査し、重力波源天体を同定することである。この目的を達成するため、我々はせいめい望遠鏡に接続する可視3色高速撮像分光装置TriCCSを改良し、それを使って重力波源の電磁波対応天体のフォローアップ観測する研究を進めた。 重力波源の電磁波対応天体の可視光フォローアップ観測においては、波長の長い領域で良い感度で観測することが重要である。しかし、TriCCSの最も長い波長帯である波長690-1050 nmの検出器が、その波長域で量子効率のあまり高くない検出器で、感度が低いことが問題となっていた。本研究で、この波長帯で量子効率の高いCMOSセンサーを購入し、性能評価ののちに交換した。i-band (波長690-815 nm) での限界等級 (10σ) は10分積分で約21.5 magと、ほぼ予想通りの感度に向上していることが確認された。TriCCSは2021年8月からせいめい望遠鏡の共同利用観測と、京都大学時間観測に使用できる装置として公開されて観測運用を行っており、重力波源の電磁波対応天体の可視光撮像フォローアップ観測の準備が整った。 新型コロナウイルス感染症の影響で、本研究の期間にadvanced LIGOやVirgoといった主な重力波望遠鏡が観測運用をできなかったため、計画していた重力波源天体のフォローアップ観測をすることはできなかった。しかし、せいめい望遠鏡とTriCCSによる突発天体のフォローアップ観測は進められており、超新星爆発などの解明に貢献した。また、TriCCSによる新星の測光結果の報告がAstronomer's Telegramに報告された。
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